1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07650021
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
中澤 叡一郎 工学院大学, 工学部, 教授 (60227767)
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Keywords | 冷陰極 / 電子放射 / 薄膜 |
Research Abstract |
本研究テーマの交流薄膜冷陰極素子については着想以来、硫化物、酸化物、有機物等の材料について電子放出を確認してきたが、その中で、酸化物は他の材料と違った特異な放射特性を示すことがこれまでに判明している。よって、本研究は、酸化物の電子放射についてより詳しく実験研究を行い、放射機構を明らかにすることを目的とした。前年度(平成7年度)には、酸化亜鉛薄膜を加速層とする目的で、その製膜方法を検討し、間欠化成スパッタ法という新しい製膜法により、金属ターゲットから酸化物膜を製膜することが可能となった。また、オイルフリーな真空排気系を導入することにより、これまでより一桁高い真空度(10^<-5>Pa台)での放射測定を可能とした。 平成8年度には、新しくRFスパッタ装置を導入することにより、これまでより高品質の五酸化タンタル薄膜や、新たな素子材料として二酸化珪素の作製が可能となった。これらの薄膜と、酸化亜鉛や電子ビーム蒸着法により作製した酸化イットリウム、酸化アルミニウム薄膜の電気的特性を測定して比較検討した結果、これら5種類の薄膜の中では二酸化珪素を電子加速層に、五酸化タンタルを電子ブロック層とする組み合わせが良いと言う結論になり、そのような素子を作製して、電気特性や電子放射の測定を行った。その結果、電子放出を確認し、また、この素子の場合、他の酸化物薄膜を電子加速層に用いた素子とは異なり、放射特性が硫化物薄膜を用いた素子に類似した特性となることが判明した。よって、結論として、酸化物膜の特異性は格子欠陥などに起因し、これより発生する電導性が影響していると考えられる。
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