1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07650022
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Research Institution | Science University of Tokyo |
Principal Investigator |
岸 清 東京理科大学, 理学部, 助教授 (90087354)
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Keywords | ひげ結晶 / 強化材料 / 引張り強度 / 結晶成長 / 結晶の完全性 / 応力歪特性 |
Research Abstract |
1.前年度において本研究の対象であるひげ結晶のごとき微少な試料の測定を目的としてマイクロ結晶用引っ張り試験装置を設計、試作し、使用に耐えるものを得たが、実際に測定を開始したところ、次項と関連して、ひげ結晶の応力歪特性の詳細を知るためには相当の改良を必要とすることが判明し、その改良をおこなった。 2.Cuひげ結晶の応力歪特性において、前年度本研究によって、高い強度を示す弾性領域(I)と低応力塑性変形領域(III)の間において見いだされた、領域(II)の発現が、ひげ結晶の太さ、成長方位以外に引っ張り速度にも関連すると見られる測定結果が得られた。実験の精度を向上するため、引っ張り試験装置を改良、測定を続行中である。 3.延伸時におけるひげ結晶の結晶学的性質を調べるため、6軸精密ステージを特注し、マイクロビームX線回析装置のゴニオマイクロメーター部分を置き換えた。結晶学的性質の測定は続行中であるが、領域(II)の本質を解明するには至らなかった。 4.らせん状のひげ結晶に加えて直線状のCuひげ結晶についても、その側面に結晶成長時の輸送物質である原料ハライドの格子像がAFM観測の結果として得られた。この格子像はすべて、原料ハライド常温相(立方硫化亜鉛構造)の最密面である{111}面の三角格子像と一致した。また、原料ハライドの種類、Cuひげ結晶側面の面方位の相違と無関係であった。 5.上に述べた格子像の存在は、結晶成長時にひげ結晶の側面に存在したハライドが薄膜として残存していることを示している。厚さ数10nmあるいはそれ以内の薄膜もまた、ひげ結晶と同様に大きな歪みに耐えうるので、熱膨張係数の相違から、ひげ結晶がかなりのプレストレスを受けている可能性があり、その影響についても検討中である。 6.装置の改良に予期せぬ時間を要したため、研究の進行が遅延したが、爾後順調に実験を進めている。結果のまとめは研究成果報告書にて詳報する。
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Research Products
(1 results)