1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07650024
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Fukui University of Technology |
Principal Investigator |
内田 健治 福井工業大学, 工学部, 教授 (70139814)
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Keywords | ズル-ゲル法 / 有機無機複合体 / pーターフェニル / 蛍光 |
Research Abstract |
本研究は、有機無機複合体における分子レベルの電子構造に着目したもので、(1)媒質に敏感であるポリフェニール(PP)系分子をゾル-ゲル法によりガラス中に分散させ、(2)その有機分子の電子構造に関する知見を得るため分光法による測定を行い解析した。さらに、ガラス中との比較のため、(3)PP系分子の一つであるp-クォタ-フェニル結晶の分光測定の実験を行い、結晶中での分子の捻れ運動について知見を得た。 (1)無機ガラスの低温による合成は、ゾル-ゲル法により可能であるが、ガラスには出発溶液に含まれているアルコール、酸や水等が残っている可能性がある。そこで、ガラスとクマリン色素の複合体を作成し、残留物の吸収・蛍光への影響を調べた。その結果、作成したゲルガラスを温度60℃、湿度50%で2週間ほどの乾燥により、残留物が殆どない良好な有機無機複合体の作成ができた。 つぎに、(2)クマリンとの複合体を作成するのと同様な手順でpーターフェニル(TP)分子とガラスとの複合体を作成した。ガラス中に10^<-6>mol/lを含むTP分子の吸収は、ピーク波長が280nmにあり、その形はアルコール中のスペクトルと同じであった。しかし、10^<-4>mol/lでは、吸収のピーク波長は302nmにシフトしており、結晶で観測されている吸収ピーク波長より更に長波長側にシフトしている。また、発光スペクトルは構造のないブロードな波形で、TP分子の濃度によって変化せず、ピーク波長を340nmにある。溶液中や結晶状態では、PP系分子の励起状態の分子は平面構造をとり、そのため蛍光スペクトルには振動構造が現れる。この違いは、ガラスとの相互作用によってTP分子の電子状態が変化したのか、分子の捻れ運動の回転傷害によるのか、今後温度変化やドープする分子等を変えて実験する必要がある。
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