1995 Fiscal Year Annual Research Report
超短光パルスによる強誘電体フォトリフラクティブ結晶への屈折率格子形成とその固定化
Project/Area Number |
07650046
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
富田 康生 電気通信大学, 電気通信学部, 助教授 (50242342)
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Keywords | フォトリフラクティブ効果 / 非線形光学効果 / 二光波混合 / ピコ秒光パルス / 強誘電体 / チタン酸バリウム / ホログラフィック光メモリ |
Research Abstract |
本研究は電気光学効果を有する酸化物強誘電体で生じるフォトリフラクティブ(PR)非線形光学効果効果の超短光パルス応答に関して、結晶内で形成されるPR屈折率格子のダイナミクスとその固定化について究明し時空間領域における超短光パルスの記録・再生や整形・直並列変換などの新規な光パルス情報処理法をホログラフィックな手法により実現することを目標に置いている。平成7年度はその第一段階として超短光パルス入射時にPR強誘電体結晶内で形成される空間電場のダイナミクスと結晶中でのPR屈折率格子固定化の基礎特性について調べることを目的とした。以下に得られた研究成果を列記する。 1.波長532nmの二つのピコ秒光パルスにより酸化物強誘電体チタン酸バリウム中に非線形屈折率格子が形成される時の電子、正孔、2つの不純物準位そして空間電場のピコ秒から秒の時間スケールでのダイナミクスを数値計算により究明した。その結果、シングルショット光パルス入射の場合には入射光パルスのfluenceに依存して空間電場ダイナミクスが定性的にも大きく変化することがわかった。特に10mW/cm^2以上の高fluenceでは空間電場の形成が暗状態のマイクロ秒領域とミリ秒領域で大きく変化し、空間電場に符号の反転を伴う2度の再形成が生じることを初めて見い出した。この場合、浅いアクセプタ準位からの正孔の熱励起が光パルス照射後の空間電場形成に重要な役割を果たすことを明らかにした。また、マルチショット光パルス入射の場合には入射光パルス数の増加に伴い形成される空間電場が増大するが、その増加の割合は連続光入射に比べて緩やかであることがわかった。 2.ピコ秒YAGレーザ(波長532nm)と強誘電体チタン酸バリウムを用いたPR屈折率格子の書き込みを連続光(波長633nm)により読み出すことによりPR格子形成ダイナミクスの測定を行なった。その結果、シングルショット光パルス入射では用いた試料でのPR格子形成は観測されなかったがマルチパルスによるPR格子形成のダイナミクスを観測することが出来た。また、連続光(波長514.5nm)によるPR屈折率格子の熱的な固定化とその結晶温度依存性の測定を行ない、イオン格子と再書き込みされたPR格子の回折効率への相対的な寄与について明らかにした。そして、屈折率格子固定化と回折効率増大化が両立する動作温度条件についての知見を得ることができた。
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