1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07650062
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
青木 健一 電気通信大学, 電気通信学部, 助手 (30017412)
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Keywords | 非線形伝搬 / パラメトリック音源 / 速度分散 |
Research Abstract |
本研究の目的は,音速が空気よりも遅い気体中で音の非線形効果(パラメトリック効果)がどのように現れるのかを検証することである.本研究では音速が空気に比べて約4/5である炭酸ガス(CO_2)と,同じく2/5である六フッ化硫黄(SF_6)を試料ガスとして音響管内に満たし,伝搬実験を行った.ここで取り上げた2気体には緩和に伴う速度分散と音波吸収があり,これらを考慮に入れた数値計算を行うことで実験の妥当性を検証すると共に速度分散と音波吸収の影響を検討した.その結果以下の知見を得た.これらについては日本音響学会平成7年度秋季研究発表会で報告した.また,同学会平成8年度春季研究発表会で報告する予定である. 1.音速が遅い媒質ほど非線形効果が音源近くから現れることが確められた.従って,基本波の非線形減衰や高調波,和音,差音の生成過程を短い伝搬距離で観察することができる. 2.緩和周波数が高い(文献によればCO_2で35kHz,SF_6では890kHz)こともあり,速度分散が非線形効果に及ぼす影響は小さい.特に差音の生成には殆ど影響しない.一方,緩和に伴う吸収は古典吸収や管壁吸収に比べて大きいため,伝搬特性全般に大きく影響する. 3.実験装置を高分子材料で構成した場合,気体の吸着や透過が問題となるが,特にCO_2では透過によると思われる負圧になる現象が著しく,それに伴って空気や水蒸気が透過混入するために緩和強度が文献値に比べて著しく下がる.
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