1997 Fiscal Year Annual Research Report
生物構造を構成する繊維材料組織の配向メカニズムとその力学的評価の研究
Project/Area Number |
07650093
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
新宅 救徳 金沢大学, 工学部, 教授 (90019761)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
喜成 年泰 金沢大学, 工学部, 助教授 (90195321)
尾田 十八 金沢大学, 工学部, 教授 (30019749)
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Keywords | 生物繊維材料 / 配向メカニズム / 力学的評価 / ヤマフジ / サルナシ / 銀杏の殻 |
Research Abstract |
昨年度に引き続きヤマフジの繊維配向と強度の関係および強度に対する季節の影響を調べるとともに、古くから谷川にかかる釣り橋の材料として使われてきたサルナシの構造と強度について研究し、ヤマフジと比較を行った。また、外力に対して強い抵抗を示す種子の構造を調べるため、銀杏の殻の組織について研究を行った。結果として以下の結論を得た。 (1)春・秋のヤマフジの師部は引張りヤング率は高く破断応力は低いが、これは構造の変化期による繊維配向の乱れが原因である。 (2)引張り・曲げの破断応力、ヤング率は温度より含水率の影響を強く受ける。サルナシの強度はヤマフジのそれより水分に影響されない。 (3)乾燥状態のヤマフジ木部は等方性の弾性体と見なすことができ、幹全体としてマトリックスを繊維が囲んでいる複合材料と見ることできる。 (4)湿ったヤマフジ師部は曲げ荷重は受け持たないが、幹の破壊を防ぐのに役立っている。 (5)サルナシの師部には繊維質は存在せず、荷重を受け持つことはできない。従ってヤマフジに比べて曲げやすく加工後の形状を保持しやすい。 (6)ヤマフジとサルナシはどちらも同じつる性植物であるが、その構造も機械的性質も大きく異なる。従ってこれらを材料として用いる場合、用途をによって選択しなければならない。 (7)銀杏の殻の化学成分は全セルロース、リグニン、水分、僅かな蛋白質と油等で構成され、組織としてセルロースが層状組織に生成され、その層間をリグニンがこう着している多層複合構造となっている。
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