1995 Fiscal Year Annual Research Report
有限要素解析による脊椎分離症の発生機序と治療法の力学的検討
Project/Area Number |
07650098
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田中 英一 名古屋大学, 工学部, 助教授 (00111831)
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Keywords | バイオメカニクス / 腰椎 / 有限要素法 / 脊椎分離症 / リモデリング |
Research Abstract |
本研究では,脊椎分離症の発生機序を解明するための下位腰椎システムに対する有限要素解析の精密化と,治療法の力学的検討のための骨のリモデリング構成式の定式化を行った. 1.まず,第3腰椎,第4腰椎,第5腰椎,仙椎,椎間円板,靭帯をすべて考慮したモデルの精密化を行った.すなわち,靭帯のモデルを,従来の線形弾性体から指数関数形のひずみエネルギ密度から導かれる非線形弾性体に変更し,屈曲時の解析精度を高めた.その結果,屈曲時に関節突起間部に生じる応力値が従来の解析結果に比べて大幅に小さくなり,従来の解析において屈曲時だけに異常に大きな応力が発生する問題が解決された. 2.関節包の効果を取り入れるため,椎間関節を線形弾性体で充填する近似モデルを作成した.そのモデルを用い,弾性係数の値を種々変化させて,関節包の剛性が関節突起間部の応力値に及ぼす影響を検討した.その結果,極めて大きな影響があることが確かめられ,椎間関節の近似精度や関節包の剛性が脊椎分離症を考察する上で重要であることがわかった. 3.腸腰靭帯の剛性が関節突起間部の応力値に及ぼす影響を検討するため,その弾性係数の値を種々変化させる解析を実施した.その結果,ほとんど影響がないことが確かめられた. 4.腰椎の一部を切除したり分離した腰椎を金具で固定した場合の有限要素シミュレーションに必要なリモデリング構成式の定式化を行った.すなわち,骨の力学的リモデリングの生理的過程を考察し,それらを適切な巨視的内部状態変数と発展式の形に定式化した.このモデルは従来不可能であった実際のリモデリング過程を忠実に再現することができる.
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Research Products
(1 results)