1996 Fiscal Year Annual Research Report
ニューラルネットワークを用いた傾斜機能材料の超高温熱破壊に関する研究
Project/Area Number |
07650107
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
中垣 通彦 九州工業大学, 情報工学部, 教授 (90207720)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
萩原 世也 九州工業大学, 情報工学部, 助手 (80198647)
堀江 知義 九州工業大学, 情報工学部, 助教授 (40229224)
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Keywords | 粒子分散複合材料 / 傾斜機能材料 / ニューラルネットワーク / ファジィー推論 / 熱衝撃破壊 / 均質化法 / 等価介在物理論 / メゾメカニックス |
Research Abstract |
一般に複合材料は微視的に複雑な材料構成を持っており、異材間の界面には応力の特異性が発生する。このため、強化材または介在物とマトリックスとの間に界面剥離や、塑性化、亀裂、損傷などが発生する。また、介在固体の体積分率が大きくなれば介在物間の応力干渉が起き、現象は一層複雑となる。本研究では、このような複合体を素材とする構造体の設計・解析に必要となる材料構成則を立てる事を目的とし、その手段として三つの方法即ち、理論構成モデル、計算力学的アプローチとしての均質化法、そして特に中心課題とするメゾメカニックスとニューラルネットワークを用いて開発を行った。 (1)任意の粒子形状の介在物に対する複合材料の非線形構成則を可能とするために、ニューラルネットによる本方法を開発した。任意の温度と体積分率をもつ粒子分散領域の応力・歪み挙動を有限要素解析により求め、教師データとする。これらをニューラルネットにより汎化し、熱弾塑性構成則に用いる方法である。本方法は複雑な複雑な挙動を短い計算時間で処理できる点において優れている。本方法を、セラミックとチタニウム合金を組成材料とする傾斜機能材料の熱衝撃破壊問題に適用し、合金相が熱塑性を呈し、セラミックス相が粘塑性挙動をする動的亀裂進展時の亀裂強度の解析を実施した。骨格構造をもつ中間領域槽にはファジィを用いて平均化した。また本方法、受鋼容器の不定形耐火材の反応膨張の予測問題にも適用した。 (2)粒子分散周期パターンをもつ複合材料の構成則テンソルを均質化法により求めた。マトリックスに塑性が起きる場合と、損傷が起きる場合についてテンソル化を試み、粒子分散複合材料の構成則を求めた。本方法の長所は巨視的な材料挙動と同時に微視的な材料挙動、応力状態をも解析できる点にある。しかし、連続的な傾斜材にはいまだ適用できない事と、非線形問題には多大な計算時間を要することが実際的な適用を困難にしている。 (3)上の二つの方法を開発したのは、複雑な材料構成をもつ傾斜機能材料に対する理論的な構成モデルの構築が難しいためである。しかしながら本研究では、楕円体介在粒子に等価介在物を考えた理論モデルの開発を試み、まず任意の体積分率に対する弾性粒子分散材料の構成則の開発に成功した。このモデルは広く利用されているMori-Tanakaの混合則を遙かに凌ぐ精度を持っていることが確認できた。Mori-Tanakaの混合則の適用範囲はかなり狭い両材料組成の剛性比と体積分率に制限されるが、本モデルは事実上全域に亙って適用可能な精度を持つことを確かめた。また、確率理論を用いて塑性にまで拡張したモデルをも開発した十分信頼できる精度を得ている。本方法を傾斜機能材料のみならず、相変態材料にも適用し、形状記憶合金や塑性誘起相変態現象問題への適用効果を示した。
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Research Products
(19 results)
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[Publications] Nakagaki,M.: "Material Modeling and FEM Fracture Analysis of Functionally Graded Material" Proc.of SES 32nd Annual Technical Meeting. 749-750 (1995)
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[Publications] Wu,Y.,Nakagaki,M.,Fukushima,H.,: "Study of Elastoplastic Constitutive Relation in Particles Dispersed Material" Proceedings of the 5th International Symposium on Plasticity and its Current Applications. 747-750 (1995)
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[Publications] Nakagaki M.,Sasaki H.,and Hagihara S.: "A Study of Crack in Functionally Grade Material under Dynamic Loading1" ASME/JSME PVP. 300. 1-6 (1995)
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[Publications] Arai Y.,Kikuchi M.,Watanabe T.,and Nakagaki M.: "Residual Stress Due to Weld and Its Effects on The Assessment of Crack Near The Weld Interface" Int.Journal of Pressure Vessel and Piping. 63. 237-248 (1995)
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[Publications] Nakagaki M.,Hagihara S.,Kuranari R.,and Shibata Y.: "Fracture Strength of Functionally Graded Material Plate Subjected to Thermal Shock" Proc.of 1st International Symposium on Thermal Stresses and Related Topics. 347-350 (1995)
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[Publications] 大河原孝一、中垣通彦、萩原世也: "熱衝撃荷重による傾斜機能材料の動的亀裂伝播の解析" 日本機械学会材料力学部門講演会講演論文集. B95-2. 47-48 (1995)
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[Publications] 大河原孝一、中垣通彦、萩原世也: "遮熱型傾斜機能材料のポスト熱衝撃破壊解析" 日本機械学会第73期全国大会講演論文集. 95-10. 224-225 (1995)
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[Publications] 中垣通彦、呉亜東、柴田泰成、福島弘典、萩原世也: "傾斜機能材料の熱弾塑性構成則と熱衝撃亀裂の解析" 第8回破壊力学シンポジウム講演論文集. 165-169 (1995)
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[Publications] 中垣通彦、呉亜東、柴田泰成、大河原孝一、萩原世也: "遮熱型傾斜機能材料の熱衝撃破壊" 第8回傾斜機能材料論文集. 43-48 (1995)
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[Publications] 中垣通彦、萩原世也、呉亜東: "傾斜機能材の弾塑性モデルと熱衝撃破壊問題への応用" 日本機械学会第72期通常総会講演会論文集. 95-1. 394-395 (1995)
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[Publications] 中垣通彦、萩原世也、呉亜東、柴田泰成: "ニューラル・ネットワークを用いた傾斜機能材料の弾塑性破壊解析" 日本機械学会九州支部第48期総会講演会論文集. 958-1. 7-9 (1995)
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[Publications] 萩原世也、中垣通彦: "破壊力学パラメタによる中央亀裂板の段塑性クリープ疲労亀裂進展解析--亀裂開口荷重レベルとの比較とクリープの影響" 第8回破壊力学シンポジウム講演論文集. 92-96 (1995)
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[Publications] Nakagaki M.,Wu Y.,Shibata Y.,Hagihara S.: "Constitutive modeling of functionally graded material and its application to fracture in FGM" Proc.of Localized Damage IV,Computer-Aided Assessment and Control. 543-550 (1996)
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[Publications] 中垣 通彦: "ニューロ・ファジィを用いた傾斜機能材料の熱塑性構成則" 日本機械学会第74期全国大会講演資料集 V. 96-15. 33-34 (1996)
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[Publications] 大河原孝一,柴田朝史,中垣通彦,萩原世也: "傾斜機能材料中の動的亀裂進展解析" 日本機械学会平成8年度材料力学部門講演会講演論文集 A. 96-10. 343-344 (1996)
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[Publications] 呉亜東,中垣通彦: "粒子分散複合材料の構成則とその評価" 日本機械学会平成8年度材料力学部門講演会講演論文集 B. 96-10. 279-280 (1996)
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[Publications] 笠井貴之,呉亜東,中垣通彦,萩原世也: "形状記憶合金の構成則における平均化則とその影響" 日本機械学会平成8年度材料力学部門講演会講演論文集 B. 96-10. 349-350 (1996)
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[Publications] 呉亜東,中垣通彦: "粒子分散複合材料の弾塑性構成則" 日本機械学会第9回計算力学講演会講演論文集. 96-25. 441-442 (1996)
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[Publications] 矢川元基ほか7名: "計算力学V" 養賢堂, (予定