1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07650109
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
真壁 朝敏 琉球大学, 工学部, 助教授 (70181609)
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Keywords | 疲労 / き裂伝ぱ / 遅延 / き裂閉口 / 加工法 / 性質変化 / 応力変動 / 残留応力 |
Research Abstract |
疲労き裂の伝ぱによってこれまでに多くの破壊事故が生じている。従って,疲労破壊事故を未然に防ぐには,き裂の発生を検出することが重要である。また,それと同時に発生したき裂の進展を遅らせることや阻止することも重要であると思われる。本研究では,部材の加工形状,複合化等によって,き裂の進展を遅らせる(抑制する)ことができるかどうかについて検討した。まず,き裂が進展する方向に溝を設けた試験片を用いて板厚の急変によってき裂伝ぱ速度が抑制できるかどうかについて検討した。その結果,き裂伝ぱ速度は溝の前で加速し,溝を通過した後に減速することがわかった。しかし,平均的なき裂伝ぱ速度は溝の配列や深さによって異なった。1つの溝を加工した試験片では,溝のない試験片の場合を基準にした場合,溝の深さを板厚の6割以上にした場合に基準より寿命が長くなった。このことから,板厚を急に変化させた場合にはき裂伝ぱが抑制できる場合があることが期待できることがわかった。そして,この理由としては,き裂先端に過大な応力が単発的に加わり,圧縮の残留応力が生じたことが考えられた。また、密接して溝を加工した場合は溝の深さにかかわらず,き裂伝ぱ寿命は基準の場合より長くなることはなかった。この場合には溝による応力集中の干渉とき裂先端に複雑な変動応力が加わるため,き裂伝ぱが加速することが考えられた。き裂のある板とない板を貼合わせた場合には,最終的に試験片が分断するのを防ぐ効果はあったが,き裂伝ぱそのものは1枚の板の場合と大差がなかった。また,局所的に試験片の硬さや組織を変化させた場合には,き裂伝ぱ方向にその変化した部分がある場合にき裂伝ぱ速度が抑制されることがわかった。 以上のことから部材の加工法等に工夫をすることによってき裂伝ぱ速度が抑制できる可能性があることがわかった。
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