1995 Fiscal Year Annual Research Report
金属破壊におけるキ裂伝播機構に関する研究-破面構造生成の数値シュミレーション-
Project/Area Number |
07650127
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
|
Research Institution | Suzuka National College of Technology |
Principal Investigator |
辻 正利 鈴鹿工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (60043296)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 陽次郎 鈴鹿工業高等専門学校, 物理教室, 助教授 (20163701)
斉藤 正美 鈴鹿工業高等専門学校, 電子情報工学科, 教授 (30149934)
|
Keywords | 金属破面 / 破面構造 / シミュレーション / フラクタル解析 |
Research Abstract |
(1)まず、鋳鉄の破面構造を統計学的に解析するための実験手法を確立した。サブミリオーダのあらさをもつ鋳鉄の破面にエポキシ樹脂を均一に塗布して硬化させ、破面を樹脂層で被覆する。研削盤で被面に平行に被服層ごと削れば、材料凸部の切削面だけが金属色(ほぼ白色)となって多数の「島」状のマップとなって残る。0.05mmの削り代を与えて破面を順次削っていき、その都度接写カメラで削られた面を撮影する。各工程ごとの拡大写真を作成し、「島」状マップをイメージスキャナで画像データとして取り込む。「島」の周囲だけを浮き上がらせるフレーム処理を施し、島の周長Lを測定するとともに、各「島」の面積Sを計算する。log_<10>L-log_<10>Sの関係の傾きから破面のフラクタル次数を求める。 (2)ねずみ鋳鉄FC15を材料として、鋳型穴径を変更して鋳込みを行い冷却速度の異なる3種類の試料を準備した。その材料から引張り試験片を切り出して破断させて解析用破面を作成した。上述の方法で各試料におけるフラクタル次数Dを求めたところ、冷却速度が速い(引張り強さS_Tが大きい)ものほど大きなDが得られること、またS_TとDとの間には良好な比例関係が成り立つことがわかった。 (3)アルミニウム合金A7075を焼き入れた後時間を変えてエージング処理を施し、内部組織が異なる5種類の試験片を準備して、衝撃試験により試料破面を作成した。表面あらさ計による表面凹凸の測定データを用いてフラクタル解析を行った結果、エージング時間が長いほど(硬さが大きいほど)フラクタル次数Dが大きいことがわかった。ただし、Dの大きさおよびその変化範囲は1.07〜1.13とねずみの鋳鉄に比べて小さい。 以上2種類の実験により、材料の内部状態と破面構造の間に何らかの因果関係があることが判明した。今後はそのメカニズムを探ることができるような研究計画をたてたい。 (4)本解析の数値シミュレーションに適用する有限要素法による二次元網目状構造物の強度解析コンピュータ・プログラムを開発中である。この編目状構造物は基本型として正方形の四辺と対角線の6要素で構成されており、縦軸方向、横方向との対角線の3種の棒要素の断面積と縦弾性係数を変えることいよって全ての要素に発生する応力を等しくすることが出来るようになった。
|