1997 Fiscal Year Annual Research Report
金属破壊におけるキ裂伝播機構に関する研究-破面構造生成の数値シミュレーション-
Project/Area Number |
07650127
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Research Institution | SUZUKA NATIONAL COLLEGE OF TECHNOLOGY |
Principal Investigator |
辻 正利 鈴鹿工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (60043296)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 陽次郎 鈴鹿工業高等専門学校, 物理教室, 助教授 (20163701)
斉藤 正美 鈴鹿工業高等専門学校, 電子情報工学科, 教授 (30149934)
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Keywords | 金属破壊 / 破面構造 / シミュレーション / フラクタル解析 |
Research Abstract |
金属破壊をフラクタル破壊力学の立場から、複雑な材料破面がフラクタル特性をもつ幾何学的構造(フラクタル次元)として定量化を図り、材料固有の微視的あるいは準微視的な機械的特性と巨視的な破壊破面構造の複雑さとの関係を実験的に調べてきたが、それらの間に明確な相関関係が得られなかった。今年度は、材料の内部構造を抽象化し、これを空孔、不純物、残留ひずみなどの分布状態によって決まる不均一エネルギー場ととらえ、それぞれの分布条件に対してある種の力学的モデルを提案して強度解析による破面生成の数値シミュレーションを実施して巨視的な破面構造との因果関係を探ることである。 開発作成した破面構造を得る数値解析シミュレーション・プログラムは有限要素法を適用した強度解析によるもので、材料は機械的性質の異なる比較的大きさの揃った結晶粒で構成され、その初期状態は空孔、不純物や析出物などが分散していて、ある残留エネルギー(初期応力)分布が与えられているものとする。解析するモデルの平板には中央付近に1個の欠損(破壊の発生源)が存在するとして一様引張りを受ける力学的負荷条件の下で、各要素の応力を数値計算し、巨視的な破面構造の生成であるので、最大せん断エネルギー説あるいは破壊形態モードIによる最大応力説によって破壊が起こるとして、それぞれの場合の最大値を取った要素が破壊したとして削除して残りの要素で応力計算などを繰り返せば、破壊の進展が得られて破面が生成されることになる。要素分割は解析しようとする領域に任意の点を打ち、それらを頂点とする基本領域を結晶粒と見なし、それぞれを基本型の相似な三角形に分割した。空孔や軟不純物は要素の縦弾性係数を小さくとり、硬い不純物や析出物はそこを起点として周りに残留ひずみ分布やせん断エネルギー分布を与えるとしこれらを一定の間隔で分散させた。 以上のような条件で幾つかの数値シミュレーションを実施した結果は次のようである。 (1)破壊は任意の方向に分岐進展する。 (2)複雑な破面構造が形成された。 したがって本解析手法は破面生成のフラクタル解析に適用できることになり、今後の研究の展望が開けた。なおこのシミュレーションの諸条件には実際のデータが適用できるので、これまでに得られた実験結果の検証に役立つものと思われる。
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