1995 Fiscal Year Annual Research Report
水による材料表面の除去加工現像の第一原理分子動力学シミュレーション
Project/Area Number |
07650142
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
後藤 英和 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助教授 (80170463)
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Keywords | 第一原理分子動力学 / 擬ポテンシャル法 / 平面波基底関数 / 水分子 / 水酸基 / エッチング / シリコン単結晶 / 結合エネルギー |
Research Abstract |
材料表面原子の水による除去加工機構を明らかにし、超精密加工技術への応用の可能性を探ることを目的とした研究を実施した。シリコン単結晶(001)水素終端化表面に1個の水酸基を作用させた系に対して、第一原理的な分子動力学シミュレーションを行い、再安定原子配列と電子状態を求めた。計算にはスーパーセル法を用い、1個のスーパーセル内のシリコン原子数は40個、平面波基底のカットオフエネルギーは70Ry以下とした。次に、その状態における各原子間結合強度、および局所状態密度を求め、水酸基によるシリコン表面原子の除去加工機構に対する考察を行った。その結果、以下のことが明らかになった。 1.1個の水酸基が化学吸着する場合、ステップの無い表面よりもステップ端の方が安定である。即ち、異方性を有することがわかった。 2.再安定原子配列において、水酸基の最低非占軌道とシリコン表面原子の最高非占軌道との間で混成軌道が形成される。この軌道はp型の電子軌道から成るため、シリコン表面原子のバックボンドに反結合状態が誘起され、バックボンドの結合エネルギーが低下する。 3.ステップ端表面原子の場合、1個の水酸基の化学吸着により、バックボンドの結合エネルギーは約60%低下する。 以上の研究によって、水酸基による水素終端化シリコン表面原子の除去加工機構が把握できた。さらに、吸着させる水酸基の数を増加させることによって、除去加工現象そのもののシミュレーションが可能となるものと考えられる。また、異方性を利用することにより、(001)表面においても超平坦化表面を作製することが可能であることも確認できた。
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