Research Abstract |
鉄鋼材料などの磁性体材料の研削表面状を,リアルタイムでオンマシン非破壊測定し,許容範囲内の表面性状に管理した部品を生産する加工システムを開発することを目的とし,本年度は,そのセンサの基本設計,試作,センサの基本特性およびオンマシン測定機としての問題点の抽出を行った. 試作した残留応力センサは,励磁極と検出極からなる磁気コイルで,このセンサを機械上の工作物とギャップをもたせてセッティングし,センサの励磁極,磁性体の工作物,検出極の間に磁気回路を生成する.磁性体材料に応力が作用するとき,その透磁率はその応力に比例して変化すること,励磁極に印加する交番磁界の周波数によって工作物表面内に浸透する磁気深さを変化する.これらのことを利用して,センサー工作物間にできる磁気回路の透磁率の変化を測定し,工作物研削表面から内部方向の残留応力分布を測定するシステムを試作した.研削表面の残留応力は,研削表面から深さ方向に200μm以内の領域が重要であることから,本センサの分解能を20μmとし,200μmの深さまで測れる仕様とし,基礎テストから高周波フェライト材料を選定し,励磁極と検出極が一体構造のセンサを試作した.また高周波磁気コイルを印可でき,微弱信号を検出できる測定回路を組み,測定機を試作した.試作センサの基本特性,本測定の可能性を検証するため,引張試験機によって被測定材に負荷させた応力を,試作センサの印可周波数を変化させて測定した.負荷応力と被測定材の各深さにおけるセンサ出力電圧とは比例し,試作センサで内部方向の応力値を非破壊でリアルタイムに測定できることが確認できた.このほか,印可電流とセンサ感度のい関係の検討,工作物形状が磁気浸透深さに及ぼす影響などについて検討するとともに,各深さの平均応力測定値から,応力分布を求めるソフトを作成した.
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