1996 Fiscal Year Annual Research Report
走査型プローブ顕微鏡による層状結晶材料の原子オーダの摩耗研究
Project/Area Number |
07650179
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Research Institution | Nippon Institute of Technology |
Principal Investigator |
三宅 正二郎 日本工業大学, 工学部, 教授 (70229813)
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Keywords | マイクロトライボロジー / 原子摩耗 / 走査型プローブ顕微鏡 / マイカ / ナノリソグラフィー |
Research Abstract |
(1)マイカの原子オーダのトライボロジー評価では、層状結晶材料であるマイカ(白雲母)表面のnNオーダの原子間力と摩擦力分布を同時に観察した。得られた画像の凹凸周期はほぼ結晶の原子間力に対応した。多数回摩擦させた場合の形状の変化および摩擦力波形の観察から原子オーダ摩耗現象を考察した。マイカ表面のnmオーダの摩耗機構を検討し、摩耗がマイカの劈開面の間隔1nm深さの積層単位で生じることを明らかにした。また摩耗までの摩擦力変化から低荷重の条件では一定摩擦回数で1層単位で摩耗が進行することが明らかになった。 (2)マイカのナノメータスケールの機械加工ではマイカ表面のnmオーダの加工実験を行い、加工が積層単位で生じることを明らかにした。さらに加工深さおよび加工抵抗の荷重依存性を検討した。加工抵抗を加工に寄与しない摩擦力と掘り起こし力に分けることができ、掘り起こし力が加工深さとほぼ対応することが明らかになった。また、その加工メカニズムを適用して1nm単位の深さの多層構造などの加工を実現した.さらに2000×600nm^2の範囲に深さ約1nmの溝からなるNippon Institute of Technologyの頭文字「NIT」を加工した. (3)ダイヤモンドについて、摩擦力顕微鏡などを用いnN〜N荷重領域における摩擦特性を明らかにした。この結果マクロ荷重領域では摩擦係数が0.1以下の値を示すのに対し、荷重減少にともない摩擦係数が急増することが明らかになった。さらにCVDダイヤモンド膜にフッ素処理を行ない、摩擦低減効果を明らかにした。また、立方晶窒化ホウ素(cBN)膜についてダイヤモンド圧子との間で0.03程度の極低摩擦特性を示すことを明らかにした。
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[Publications] 三宅正二郎他3名: "原子間力顕微鏡によるマイカのナノメータスケールの機械加工" 精密工学会誌. Vol63,3. 381-385 (1997)
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[Publications] 三宅正二郎他2名: "マイカのnmスケールの摩耗特性" トライボロジー会議'96北九州予稿集. 187-189 (1996)
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[Publications] 三宅正二郎他3名: "超硬質膜のマイクロトライボロジー" トライボロジー会議'96北九州予稿集. 190-191 (1996)
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[Publications] 大竹利明、三宅正二郎: "マイカの機械的ナノリソグラフィー" 1997年精密工学会春季講演会講演. (予定). (1997)