1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07650207
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉永 隆夫 大阪大学, 基礎工学部, 助手 (40158481)
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Keywords | 気泡流体 / 非線形 / カオス / 衝撃波 |
Research Abstract |
本研究は,気泡流体中に伝播する強い衝撃波波頭後方に現れる振動波列の不規則な振る舞いが,主に非線形性によるカオス現象であることを示し,その発生のメカニズムを明らかにすることを目的としている。 初年度は,気泡流体で満たされた鉛直衝撃波管中を伝播する,強い衝撃波の圧力変動に関するデーター解析を行った。解析では,衝撃波管の近接した2点a,bで測定された変動圧力P_a(t),P_b(t)の差の絶対値ΔP(t)およびその時間微分を含む3次元位相空間内での距離(セパレーションディスタンス)の時間発展 d(t)=√(ΔP)^2+(dΔP/dt)^2+(d^2ΔP/dt^2)^2, を調べた。その結果、強い衝撃の場合,位相空間内(ΔP,dΔP/dt,d^2ΔP/dt^2)での圧力差の時間発展は複雑な軌道を描き,初期(t<<1)に隣接した軌道間の距離d(t)は指数関数的に増加していくことが示せた。従って,衝撃波後方での不規則な振動波列はカオスであると判定できる。一方,弱い衝撃波の場合でも,一見不規則な振動波形が現れる。しかし,その場合,複数回の実験結果の重ね合わせ平均には不規則性が現れず,またd(t)が線形的に増大することが示された。従って,この場合不規則性は衝撃波管内での気泡の非一様な分布によると考えられる。強い衝撃波の場合,重ね合わせ平均によっても不規則性は取り除かれないので,気泡分布の非一様性の影響は十分小さい。かくして,強い衝撃波の不規則振動では,非線形性が重要な役割を演じている。 本年度の研究計画で示した,高速フーリエ変換(FFT)または最大エントロピー法(MEM)を用いたスペクトル解析による上記の結果の確認は,時間的な制約のためできなかった。来年度,非線形モデルを用いた発生メカニズムの研究に加えて,このデーター解析を引き続き行う予定である。
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Research Products
(1 results)