1995 Fiscal Year Annual Research Report
電子効果を用いたレーザ光マイクロエンジンに関する研究
Project/Area Number |
07650216
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
太田 正廣 東京都立大学, 工学部, 助教授 (80094259)
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Keywords | 分子気体力学 / 量子力学 / マイクロマシン / レーザ光マイクロエンジン / 光圧力 / フォトン |
Research Abstract |
最近、マイクロマシンに対する関心が研究者や技術者、産業界の間で急速に高まってきている。そのマイクロマシン開発において重要視されているものの一つに、アクチュエータの開発がある。現在、動作原理として静電気力、電磁力、圧電素子等を用いたアクチュエータが研究されているが、新しい動力源としてレーザ光を用いた分子気体効果、量子効果を応用したレーザ光マイクロエンジの特性を明らかにすることを本研究の目的とする。レーザ光マイクロエンジンは、エネルギー源が光であるため環境に優しく、エネルギー供給が非接触で行われるため構造が簡単であることなどが長所として挙げられる。従来の研究によれば、レーザ光マイクロエンジンの発生トルクは非常に微小であることが明らかになっており、そのため個体表面同士の接触(軸受部など)により発生する摩擦等の面積力を小さくすることが重要となってくる。そこで本年度は、軸受部の摩擦による発生トルクの損失を減少させるため、レーザ光の放射圧(光圧)を用いてロータを非接触で捕捉、浮上させることを目的とした研究を行った。いわゆるレーザ光マイクロエンジンへの光圧利用であり、これはレーザによる光トラッピング(レーザトラッピング)または光ピンセット技術と呼ばれる。しかし、レーザ光マイクロエンジンのロータ形状は光学的に非常に複雑であるため、本研究では研究初期段階として、直径が数μmの透明な球形微粒子にはたらく光圧、およびその微粒子のレーザトラッピングについての検討を行った。レーザトラップ実験装置の設計に際し、まず本研究の目的に沿った設計最低条件を明確にした。本研究ではレーザトラッピングをレーザ光マイクロエンジンのロータの浮上に用いることが最終目的であるため、レーザトラッピングにおける微粒子の浮上のための条件、浮上状況の解析等が必要であると考えられる。よって、上方からのレーザ光の入射および側面からの観察を設計最低条件として設定した。また微粒子を三次元的に捕捉するためにはレーザ光を微粒子の上方で集光させて勾配力を散乱力や微粒子にかかる重力よりも大きくする必要があるため、微粒子に作用する光圧力の厳密な検討により捕捉に最適な集光用対物レンズの選択を行った。実験には5、10μmのポリスチレンラテックス微粒子の水溶液を用いた。これらをそれぞれガラスセルに注入し、顕微鏡のステージ上でレーザ光を照射した。レーザ光の勾配力により微粒子が焦点方向、すなわち視野の上方に向かって移動するのが確認された。この実験において、二点の改善が必要であることが判明した。1つは光学系の焦点位置の再検討、もう一つの対流の抑制である。
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