1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07650230
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Research Institution | MURORAN INSTITUTE OF TECHNOLOGY |
Principal Investigator |
岸浪 紘機 室蘭工業大学, 工学部, 教授 (10002891)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 淳 室蘭工業大学, 工学部, 助手 (20241408)
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Keywords | 泡沫流体 / 気液2相流 / 高粘性流体 / 高温熱伝達 / 表面張力 / 沸騰熱伝達 / 放射熱伝達 / 鋼材熱処理 |
Research Abstract |
鋼材の焼き入れ,焼き戻しなどの高温熱処理工程において,冷却速度の管理・制御は鋼材の最終的な品質を決定する重要な因子のひとつである. 本研究では,界面活性剤水溶液を発泡することにより空気と水分の構成比を広範囲に可変できる,即ち空気と水の冷却特性を併せ持つ泡沫流体の広範囲の温度条件での熱伝達特性を実験的に明らかにして鋼材熱処理における冷却速度制御の一資料を得る事を目的としている.そこで,線鋼材などの熱処理に対応させて,高温水平円筒周りの泡沫流体の熱伝達特性と,2本の高温水平円筒を流れ方向に対して垂直と平行に配置した場合の相互干渉を伴う熱伝達特性について実験的に明らかにした結果を以下に述べる. (1)100℃〜900℃までの広い加熱温度での実験により円筒電熱面から泡沫流体へ伝わる熱流束は過熱度に関わりなく約10^5W/m^2程度となる事を明らかにした.これより鋼材の熱処理において泡沫流体を用いる事により冷却速度の制御の可能性が示され,一定に近い冷却速度が期待される. (2)過熱度10℃前後までは加熱円筒面に泡沫流体は接した状態で流動しており,一見高Pr数流体の対流熱伝達挙動に対応している.過熱度100℃〜200℃では加熱部に接した泡沫が速やかに液部を蒸発させて破泡して不安定な流れとなる.ここでは,液膜の蒸発潜熱と液の蒸発による蒸気流による対流熱伝達の複合状態にある.過熱度500℃以上では泡沫流体と加熱面の間に蒸気で満たされた空間が形成され,高温面からの放射伝熱による蒸発発泡と蒸気流の対流伝熱の複合常態にある. (3)2本の高温円筒が泡沫流体中にある場合の相互干渉効果としては,流れ方向配置においては過熱度の大きな領域において流れの下流に位置する円筒伝熱面からの熱流束は上流側伝熱面からの蒸発蒸気やこれに起因する泡沫径の不均一の影響を受けて不安定で上流部に比べてやや低い熱流束となることが示された.しかし,低い過熱度領域においてはこれらの影響が小さくなり,それぞれの伝熱面からの熱流束に顕著な差異は認められない. (4)水平配列の場合,本実験条件の範囲において相互干渉の影響は認められなかった.
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[Publications] H.Saito,K.Kishinami,N.Anzawa,J.Suzuki: ""Heat Transfer Characteristics of Foams Flowing on A High Temperature Horizontal Plate Facing Upward"" Transport Phenomena Science and Technology 1992 Higher Education Press,Beijing China.421-426 (1992)
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[Publications] 斉藤図,岸浪紘機,安沢典男,水戸寛: ""泡沫流体の高温熱伝達特性"" 第29回日本伝熱シンポジュウム講演論文集(1992-5). 169-171 (1992)
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[Publications] 鈴木淳,斉藤図,岸浪紘機,安沢典男: ""泡沫流体の高温水平円筒表面における伝熱特性"" 日本機械学会第72期全国大会講演論文集(III). No.940-30. 31-33 (1994)
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[Publications] 鈴木淳,斉藤図,岸浪紘機,安沢典男: ""高温物体の冷却に対する泡沫流体の利用とその伝熱挙動" 日本機械学会北海道支部第35回講演論文集. No.952-2. 147-148 (1995)