1996 Fiscal Year Annual Research Report
超臨界液滴燃焼における流体力学的カプリングの解明と蒸発・燃焼特性の予測
Project/Area Number |
07650234
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
梅村 章 名古屋大学, 工学部, 教授 (60134152)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
賈 為 山形大学, 工学部, 講師 (10235799)
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Keywords | 超臨界圧 / 噴霧燃焼 / 蒸発特性 / 微粒化 / モデリング / 超圧縮性 / 連続的相変化 / 流体力学的カプリング |
Research Abstract |
超臨界雰囲気中に噴射された液体燃料の微粒化、気化、混合、燃焼を支配する物理過程の解明を目的にした研究を行った。また、これまでの単一液滴の蒸発特性の数値計算結果に新しい解釈を加えて、未開拓の問題の開拓と展開を図った。 本年度の研究によってあきらかになった、液滴の生涯の途中で表面が消失するような条件(遷移蒸発領域)での気化混合特性の特徴をまとめると(1)気化時間が短く(液滴温度の緩和時間と同程度)、非定常性が強い。(2)熱伝導による表面温度の上昇に主導されて連続的相変化への遷移が起きる(従って、内部加熱が進行しないと遷移できない)。(3)相平衡拘束からの解放によって燃料の拡散能が大幅に増大する。(4)飛行液滴では表面張力の消失によって変形が顕著になり、接触面積を拡大して混合が大幅に促進される。これらの事柄により効率的な噴霧の分散と速やかな気化混合を実現するには、初段階での大きな慣性と表面張力によって微粒化された液体燃料を広範囲に分散し、後段階で流体力学的な気化と混合の促進が期待できる遷移領域条件を利用するのがよいことがわかる。しかし、(5)臨界条件近傍では超圧縮性の発現によって音波の放射、容器の固有振動との共鳴が生じて振動蒸発を起こす可能性があるので、この点の検討を行い、遷移領域での選択的に高い音響増幅率の出現機構を解明した。さらに、以上ははじめに液滴ありきと仮定して行った研究であるが、液滴の形成過程まで遡って考えると、連続的相変化が起きる場合には表面張力が働かないので液体の微粒化ができないことになる。そこで、(6)熱力学特性と流体力学特性との強いカプリングが微粒化・気化・混合特性の及ぼす効果を調べるために、超臨界雰囲気中に噴射された液体燃料ジェットの線形安定性解析を行い、この研究でも遷移領域の有効性を見いだした。 現在、KIVAなどの噴霧燃焼シミュレーターでは、液滴の蒸発速度や抵抗則を与える構成方程式に低圧での知見が用いられているが、遷移を経験するような高圧での本計算結果は、その妥当性をいずれも否定するものであった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] A.Umemura: "Supercritical Droplet Gasification and Combustion" In Mechanics and Combusion of Droplets and Sprays,N.Chigier & H.H.Chiu eds.,Begell House,New York. 351-363 (1996)
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[Publications] W.Jia and A.Umemura: "Computation on Gasification and Combustion of a Moving Droplet in Supercritical Ambiences" In Transport Phenomena in Combustion,S.H.Chan Ed.,Taylor & Francs,Bristol. 838-849 (1996)
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[Publications] 島田・梅村: "超臨界雰囲気中の燃料液滴の気化特性" 日本機会学会論文集 B編. 63-606. 668-674 (1997)
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[Publications] A.Umemura and Y.Shimada: "Characteristics of Supercritical Droplet Gasification" Twenty-sixth Symposium (International) on Combusion,The Combustion Institute,Pittsburgh. (1996)
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[Publications] W.Jia & A.Umemura: "Computation on Head-On Collision of Two Identical Droplets with Constant Surface Tension Coefficients" Transactions of the Japan Society for Aeronautical and Space Sciences. 39-126. 401-415 (1997)
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[Publications] A.Umemura,K.Miura and K.Takada: "Suppression of Embedded Shocks in Supersonic Free-Shear-Layer structures" Shock Waves. 6-3. 167-175 (1996)