1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07650236
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Research Institution | GUNMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
稲田 茂昭 群馬大学, 工学部, 助教授 (00008517)
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Keywords | 微細化沸騰 / 固液接触 / 増強 / 沸騰機構 / しきい値温度 |
Research Abstract |
平成7年度において,プール沸騰系で現れる微細化と衝突液滴沸騰系で現れる液滴の微細化が同一のメカニズムのもとで発生することが明らかになったため,蒸気爆発の分野で関心の高い液・液沸騰系での微細化機構との関連性をも把握する必要から,平成8年度は液・液接触過程の可視化とそこで熱伝達特性の定量化を行い,固液接触の増強と急冷能力との関連性を明らかにし,3つの異なる相変化場での微細化のメカニズムを統一的に把握した. 液・液直接接触沸騰に関する研究を大別すると,一つは蒸気爆発の機構解明の基礎研究として進められているものであり,他の蒸気発生を主目的とした高い伝熱性能を有する熱交換器の開発研究である.いずれの研究においても,激しい沸騰現象を伴う場合の現象の定量的かつミクロ的把握には一般に非定常実験が多く採用されている.即ち,異なる2液の一方の低温融体伝熱面上に高温融滴を落下させる沸騰系やその逆の沸騰系が採用されている.しかしこれらの系で報告される伝熱特性は,温度の初期情報に基づいて評価されるか,あるいは時間平均値として評価せざるを得ず,マクロ的な把握に終わっている. そこで本研究では低融点合金を加熱された銅製の熱伝導体を介して溶融させ,水で満たされたプール内で液・液直接接触沸騰を定常状態で実現させ,沸騰特性曲線を得,この沸騰系の微細化特性を固液接触でのそれと比較した. 結果としては,溶融金属と水との激しい相互作用は認められ,微細化現象が生じていることが判明したが,熱流束としては1MW/m^2以下の低い値を示し,サブク-ル水中(=80℃)へ伝達されるとした時の熱伝達率は約(1〜5)x10^3W/m^2K程度に過ぎなかった.結局ここでは前年度で得た所定の接触熱面温度とサブク-ル度が確保されていなかったからであり,このことから,固液接触のみならず液・液接触においても高い熱流束の得られる微細化現象の発生には所定の接触熱面温度とサブク-ル度がしきい値となっていることが判明した.
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[Publications] Shigeaki INADA: "Heat Flow Visualization and Characteristics During Liquid-Liquid Direct-Contact Pool Boiling" The 1st Pacific Symposium on Flow-Visualization and Image Processing. Vol.2. 475-478 (1997)
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[Publications] 稲田茂昭: "液・液直接接触沸騰時の伝熱特性" 日本機械学会第74期全国大会講演論文集(III). NO.96-15. 399-400 (1996)