1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07650355
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Research Institution | CHIBA UNIV |
Principal Investigator |
岡本 絋 千葉大学, 工学部, 教授 (90241934)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松末 俊夫 千葉大学, 工学部, 講師 (20209547)
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Keywords | 間接遷移 / 注入発光 / 発光効率 |
Research Abstract |
ポーラスSiの可視発光の特性を調べていく中で結晶Siからの発光はどの程度調べられているのかについて調査を行ったところ、驚くべき事が判明した。 (1)ポーラスSiの発光に関与する研究者ばかりでなくSi/Ge超格子構造結晶の発光を研究する人々も、結晶Siは間接遷移型バンド構造を有するので発光には不向きであるとの定性的な認識のみであり、発光効率など定量的な認識は皆無である。 (2)文献検索の結果は結晶Sip-n接合からの注入発光(LED動作)に関する論文は1955年まで遡らなければならない。そこでも、室温と77Kにおける発光スペクトルが対比されているだけで、効率はきわめて小さいとだけ記述されており数値的表現はない。今日でも発光効率は0.0001%をはるかに下回るとだけ認識されている程度である。 (3)レーザダイオードに関しては1962年に検討された例があるが、間接遷移のためにキャリア寿命が長く、その為に自由キャリア吸収が増大してしまいレーザ動作は不可能という理論検討が発表されているのみである。 (4)歴史的に見ても、発光ダイオードの研究は初期には可視光を発光させることに主眼が置かれ、赤外光であるSiは対象外であった。その後、光通信の発展とともに赤外発光素子が研究の対象になったが、その時代は既に赤外で高い効率で発光する直接遷移型化合物半導体が数多く知られており、それらが研究の対象となって、Siはここでも興味の対象外となった。 このような事情にあるのでここでは結晶Siの発光を調べた。市販のSiフォトダイオードに通常とは逆の順方向バイアスを加えて電流注入しその発光スペクトルを測定するとともに、ド-ピング濃度依存性と温度依存性を調べた。初期的結果であるが、発光効率は0.001%と予想以上に高く、発光波長が温度上昇とともにブルーシフトするなど通常のLEDとは異なる性質を見出した。今後、これらを詳細に調べて、効率の一層の向上を求めていきたい。
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