1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07650365
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
橋本 佳男 信州大学, 工学部, 助教授 (30262687)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
巽 勇吉 信州大学, 教育学部, 教授 (10029704)
伊東 謙太郎 信州大学, 工学部, 教授 (20020977)
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Keywords | 化合物半導体 / よう素処理 / ガリウムひ素 / 表面不活性化 / 光電子分光法 |
Research Abstract |
本年度は、よう化物処理を行ったGaAs表面を高分解能光電子分光法(XPS)により解析し、表面生成化合物について明らかにした。GaAs基板をNH_4I水溶液に浸す処理は、よう化物と同時に酸化物も形成し、表面不活性化の観点では必ずしも有効ではないことがわかった。 1.GaAs基板をNH_4I水溶液に数分間浸し、単色化X線を用いたXPSを行った。NH_4Iによる処理を行ったGaAsでは、Ga3d準位の信号がGaAsのものの他に複数検出された。これを詳細に分析すると、ケミカルシフト1.6eVおよび0.9eVの化合物が形成されていることがわかった。さらに、光電子放出角を変える実験を行い、検出されるよう素、酸素の量と、Ga3d準位の各化学状態のピークの構成比を比較すると、1.6eVのピークが酸素の量に、0.9eVのピークがよう素の量に対応して変化した。したがって、NH_4I処理を行ったGaAs表面では、ガリウムの酸化物とよう化物が混在する。また、1.6eVのシフトは酸化物のみを形成したデータとも一致する。 2.さらに、NH_4I処理の温度を室温から80°C程度まで変化させたり、数時間の処理を行うことによってもよう化物のみを選択的に形成することはできなかった。また、硫酸エッチング後の純水洗浄の条件などでは酸化物の量を減らすことができず、酸化物が形成されるのはNH_4I水溶液中の処理自身の問題であろう。 3.NH_4I処理を行ったGaAsについては真空中で加熱すると、前述のよう化物が約200〜300°Cで昇華すると見られるのに対し、酸化物は約300〜400°Cで脱離する傾向が見られた。したがって水溶液を用いたよう化処理は、真空中熱処理を行っても、酸化物の除去には有効な方法ではなかった。
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Research Products
(1 results)