1995 Fiscal Year Annual Research Report
電磁波の生体安全性評価を目的とした小動物への電磁波の局所曝露法の研究
Project/Area Number |
07650440
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
多氣 昌生 東京都立大学, 工学部, 助教授 (60145670)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 利幸 東京都立大学, 工学部, 助手 (10254153)
|
Keywords | 電磁波 / 生体影響 / 携帯電話 / 曝露装置 / FDTD法 |
Research Abstract |
小動物に対する局所曝露法として、近接した線状アンテナ、導波管アプリケータ、漏洩導波管による曝露の3つの方法を想定し、回転楕円体で近似したラットファントムにおける電力吸収分布をFDTD法による数値解析により検討した。周波数は携帯電話で用いられている、900MHzおよび1.5GHzを想定した。ダイポールアンテナでは全身平均SARに対して局所SARが19倍程度までしか集中できない。これに対して、導波管アプリケータでは244倍、漏洩導波管では55倍と、局所に集中できる。しかし、ダイポールアンテナでは動物が少し動いても影響が少ないが、他の2方法では極端にSARが変化する。漏洩導波管は他の方法に較べて多くの動物に同時に曝露できるが、電力の効率が悪い。各方法のこれらの特色を考慮して、実験方法のデザインを行う必要があることが明らかとなった。 以上の結果、実用的には線状アンテナに利点があると判断し、モノポールアンテナを用いた場合について、さらに詳細な計算を行った。ラットの形状を忠実に模擬した均一ファントム及び骨、皮膚、肝臓、その他の高含水組織の4成分から構成される不均一ファントムの2つの数値ファントムを用いて、ラット内のSAR分布を詳細に計算した。その結果、不均一モデルでは、均一モデルより局所SARが大きく、特に骨の周辺のSARが大きい傾向が明らかになった。 また、携帯電話使用時に実際に人体の組織中で生じる局所SARを人体頭部を忠実に模擬したモデルと携帯電話モデルを用いてFDTD法により評価し、携帯電話機の生体安全性評価のため動物実験において小動物に曝露すべき局所SARの値を同定した。 以上の検討の結果、ラットに対する局所的な曝露法の基本的な要件を明らかにできた。
|