1996 Fiscal Year Annual Research Report
超音波回折トモグラフィ法による体内音速の医療用三次元定量画像計測
Project/Area Number |
07650472
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
山田 晃 東京農工大学, 大学院・生物システム応用科学研究科, 助教授 (20159213)
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Keywords | 超音波CT / 回折トモグラフィ / 逆散乱 / 医療画像診断 / 定量CT / 音速画像 / 三次元画像 / 後方伝搬リトフ近似 |
Research Abstract |
本研究では,物体の垂直軸の周囲だけで送受信される音波の観測データに基づいてスライスされた多層の観測断面内の生体音速を定量的に画像化することのできる3次元音速の定量CT法を考案した。本問題に対しては,通常の2次元に代わって3次元の画像再構成を行うことが実用化の成否を左右していたが(実際の散乱現象が3次元であるため3次元的に取り扱わないと正しい画像が再現できない),データ収集量や計算量の増大,さらには収集可能な観測範囲の制限の問題のために画像の3次元化が困難であった。これに対して,本研究では2次元水平断面内からの散乱波成分を分離するための空間フィルタ処理の導入により本来の3次元のCT問題を2次元断層像の積層CT問題に分割することを可能にし,これにより現実の医療現場へ適用することのできる3次元CT法を実現した。本研究の第二の成果として,従来のリトフ近似における弱散乱近似の制約を緩和するための後方伝搬リトフ近似を考案し,適用可能な音速範囲や観測距離を拡大,延長することに成功した。これらの結果,例えば従来は対象物体の測定可能な音速変動範囲はせいぜい3,4%どまりであり,実際の人体軟組織の音速範囲(9%程度)をカバーできないことが実用上の障害になっていた。これに対して,本提案手法(後方伝搬リトフ近似ならびにリトフ近似の2次項の偏り補正処理)を導入した結果,観測距離に依存せずに10%内外の音速変動を有する対象物体の音速画像が0.1%以下の定量精度で再現可能になった。以上に示された結果は,乳房などの体表臓器を対象とした医療応用上の要求を満足できるものであり,実用化に向けての有望な見通しが得られたと考える。
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[Publications] Akira Yamada: "Quasi 3-D Quantitative Computerized Tomography for Reconstructing Sound Velocity Slices of a Weakly Scattering Object" Jpn.J.A.Phys.35・5B. 3135-3138 (1996)
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[Publications] 山田晃: "生体音速の逆散乱定量CT画像計測" 日本音響学会誌. 52・9. 716-721 (1996)
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[Publications] Akira Yamada: "High Precision Quasi 3-D Quantitative Reconstruction of Sound Velocity Image From the Transmitted Data Around a Single Rotational Axis" Proc.1996 Ultrasonics Symposium. (to be published). (1996)
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[Publications] Akira Yamada: "Quasi 3-D Inverse Scattering Computerized Tomography for High-Precision Sound Velocity Measurement in Tissues" ASA and ASJ Third Joint Meeting. 1345-1348 (1996)
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[Publications] Akira Yamada: "Weak Scattring Acoustic Wave Field Analysis Using Backward Propagation Rytov Transform" Jpn.J.A.Phys.36(to be published). (1997)
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[Publications] 山田晃: "超音波回折トモグラフィ" 超音波TECHNO. 9(掲載予定). (1997)