1996 Fiscal Year Annual Research Report
波動歯車の原理を利用した大出力超音波モータに関する基礎的研究
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07650486
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
石田 宗秋 三重大学, 工学部, 教授 (70135317)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
駒田 諭 三重大学, 工学部, 助手 (10215387)
堀 孝正 三重大学, 工学部, 教授 (90199521)
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Keywords | 円環状圧電素子 / 積層形圧電素子 / 波動歯車装置 / 進行波 / 圧電モータ / 超音波モータ |
Research Abstract |
本研究は、小型、軽量、大容量のアクチュエータの開発を目的に、従来の超音波モータとは動作原理の異なる、積層形圧電素子または円管状圧電素子を駆動源として、波動歯車の機構と屈曲を利用した機械的共振により進行波を発生し機械的摩擦力によりロータを回転させる機構の超音波モータに関するものである。本研究で得られた成果は以下の通りである。 1.剛性の高い大出力の円環状の圧電素子を使い、波動歯車装置の原理を利用して機械的共振体の剛性を高めた共振型圧電モータ(超音波モータ)を再設計、改良試作した。また、従来の積層形圧電素子を用いたモータについても、機械的剛性を高める改良を行い、特性の改善を図ると共に、本モーターの問題点解明のための基礎データを得た。 2.方形波電流出力およびフィルタ付き方形波電圧出力の方形波FETインバータの主回路および制御回路を改良し、出力周波数の精度、操作性を改善した。 3.モータの改良により、回転速度の増加が見込めるため、回転速度-トルク特性の測定装置を改良した。 4.円環状圧電素子を使用したモーターについて、素子を円環状のまま使用したモータと素子を6個に等分割したモータを試作し比較した。この結果、トルク-回転速度特性に対する素子の分割による影響はあまりなく、ステ-タの機械的特性が大きく影響しているものと思われる。 5.円環状圧電素子に電極を取り付ける際の接着状態が、モータの特性に大きく影響することが明らかになった。特に、素子を分割した場合、接着層の厚みのばらつきが悪影響し、接着層をできる限り薄くする工夫が必要である. 6.円環状圧電素子を使用する場合、素子に大きな変位を要求する従来の方式では、出力パワーを大きくするために駆動電圧を高くすると、素子の損失のためにに発熱することが分かった。ステ-タの構造を改善し、素子の変位を大きくしなくても(素子の大きな応力を利用)ステ-タ表面(ロータとの接触点)の円周方向の速度を大きくする必要がある。 7.積層形圧電素子を用いたモータの機械的剛性を高め、圧電素子の振動を有効にステ-タに伝えるための工夫として、固定板に対して面対称な構造のモータを試作した。この結果、回転速度、トルク共にかなりの改善がなされた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 長山有郷、石田宗秋、堀孝正: "円環状圧電素子を利用した共振型圧電モータの3相駆動時の特性" 平成8年電気学会産業応用部門全国大会講演論文集. III. 361-364 (1996)
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[Publications] 長山有郷、石田宗秋、堀孝正: "円環状圧電素子の進行波の形成について" 平成8年電気関係学会東海支部連合大会講演論文集. No.232. 116 (1996)