1996 Fiscal Year Annual Research Report
対向概念に基づく親フィンガを有するロボットハンドシステムの構築
Project/Area Number |
07650514
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Research Institution | Toyota Technological Institute |
Principal Investigator |
山田 陽滋 豊田工業大学, 工学部, 助教授 (90166744)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黄 声揚 豊田工業大学, 工学部, 研究員 (60268034)
梅谷 陽二 豊田工業大学, 工学部, 教授 (20013120)
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Keywords | ロボットハンド / 対向性 / おや指 / 柔軟被覆 / 動的触覚センサ / 定位 / 把持安定性 |
Research Abstract |
本研究では,対象作業に応じてロボットハンドのフィンガのいずれかがヒトのおや指の役割を担うことにより,広い動作範囲において他のフィンガやパーム(ロボットの掌)との対向性を実現できるハンドシステムを構築することを目的とした.ハンドの設計の段階で,教示作業効率の観点からは人間形に劣るが,より多様な形状の物体が把持できるとの判断から,ハンドの形態を非人間(対称)形とすることに決定した.さらに,対向性の成立範囲の大小が親フィンガの性能を左右することから,フィンガ表面の被覆に柔軟性を与え,物体と面接触できる機能がとりわけ重要であると考察した.しかし面接触をすると,物体の形状によっては,その特徴点と力ベクトルの作用線との間に明確な対応が得られない場合がしばしば発生し,物体を安定に把持するための力制御則の適用が困難になる.そこで,接触力ベクトルが検出可能な小形の3軸力覚センサ素子を弾性被覆に分布状に配置し,それらの情報を基に被覆の変形を求めて物体の定位を行い,把持安定性を評価することにした.加えて,物体との接触状態の変化をより詳細にモニタできるように,各センサ素子に滑り振動覚機能も与えることにした. まず,ハードウェアとしては,3軸力覚および振動覚を有する動的触覚センサ素子を試作し,柔軟な被覆に分布装備するまでを最終的に実現した.高信頼な素子の開発が容易でなく,センシングノイズが顕在化したため,それらのセンサ情報を直接利用できるまでには至らなかったが,ソフトウェア上は,ノイズの少ないセンサ信号を仮定してさらに研究を進めた.すなわち,センサ信号に基づいて,有限要素法を利用した定位アルゴリズムを得,また,ポテンシャル関数から得られるヘシアン行列の正定性を調べることにより,外乱に対する物体把持の安定性を解析するアルゴリズムを求めた.そして,これらの有用性を実時間性とともに評価した.
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[Publications] 森田裕之,山田陽滋: "被覆の柔軟性を利用した形状センシング" 第14回日本ロボット学会学術講演会予稿集. 1079-1080 (1996)
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[Publications] 山田陽滋: "触覚センシング研究の新しい展開" 日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会:96講演論文集. 1505-1508 (1996)
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[Publications] 西垣勝,山田陽滋: "非マトリクス配置が可能な動的触覚センサ素子の開発" 計測自動制御学会第5回ロボットセンサシンポジウム予稿集. 193-196 (1996)
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[Publications] 山田陽滋: "3軸力覚・振動覚を有する触覚センサの開発と物体の並進・回転滑り識別への応用" 日本ロボット学会誌. 13・4. 539-544 (1995)
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[Publications] 山田陽滋: "多関節2指ハンドによる未知対象物の把持のための動的触覚センシング" 日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会:95講演論文集. 73-76 (1995)
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[Publications] 水口尚宏,山田陽滋: "動的触覚イメージャの開発" 日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会:95講演論文集. 726-729 (1995)