1996 Fiscal Year Annual Research Report
ウェーブレットを用いたアダプティブ境界積分方程式法に関する研究
Project/Area Number |
07650530
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
西村 直志 京都大学, 工学研究科, 助教授 (90127118)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 昭一 京都大学, 工学研究科, 教授 (90025908)
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Keywords | 境界積分方程式法 / 境界要素法 / ウェーブレット / 数値解析 / 高速解法 |
Research Abstract |
本年度は当初の計画では、積分方程式法による時間域および周波数域での波動方程式の解法にspline wavelet関数を用いる研究を中心とする予定であった。しかし、これらの関数は従来の形状関数に比べ大幅に精度や、効率を改善するものでは無いことが分かり、特に時間方向の形状関数とした場合、因果律を考慮するとむしろ使いにくいものであることが結論された。そのため、時間域の研究よりも周波数域の解法を中心とし、更に簡単のためにLaplace方程式に迄たち戻った研究が必要であると考えられた。幸い、wavelet関数の多重解像度解析と、近年盛んに研究されるようになった境界積分方程式法の高速解法が密接に関連していることが見出されたため、当初の計画よりも遥かに実用性の高いwavelet-Galerkin積分方程式法を定式化することが出来た。Wavelet-Galerkin積分方程式法は区分一定要素とGalerkin法を用いた従来の境界積分方程式法を改良したものであり、従来法がscaling関数のみを用いて未知関数を補間していたのに対し、Wavelet-Galerkin積分方程式法ではHaarのwavelet関数を使用する。Haarのwavelet関数は積分すると0になるため、それを密度関数とする層ポテンシャルは従来の形状関数使用時よりも早く減衰する。更にHaarのwavelet関数をtest関数として用いると、従来法による行列よりも非対角項の減衰のオーダーが2オーダーあがる。このため、離散化において得られる行列は従来法に比べて遙かに優対角性が高まり、対角線より離れた要素は始めから計算する必要がなくなる。このような方法により、500元程度の規模の問題において、解くべき行列の成分の絶対値の小さい75%程度を0と置き換えても、得られる解は殆ど影響を受けないことが確かめられた。このようにしてwavelet-Galerkin積分方程式法は高速解法として有望であることが結論された。
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