Research Abstract |
地震被害と相関の高い地震動パラメタを抽出するために,昨年1月に発生した兵庫県南部地震の際に各地で得られた地震動記録と,地盤破壊に関する資料,構造物被害に関する資料などを収集した.本年度はまず,得られた地震動記録を基に以下の手順に従って各地の疲労応答スペクトルを評価した.すなわち,加速度,速度,変位の応答スペクトルと各振幅レベルでの繰り返し回数を,縦軸(Z軸)に応答レベル,横軸(Y軸)に構造物の固有周期,横軸(X軸)に応答レベルごとの繰り返し回数をとって,立体的に図化する(この曲面をA曲面と呼ぶ).また,図中に疲労破壊曲面も描き入れる.この曲面Bは,当然のことながら構造材料などによって異なる.つぎに,曲面AとBおよびX-Y平面,Z-X平面,さらに応答スペクトルをX軸方向に平行移動してできる曲面によって区切られる立体の体積Vを求める.Vとして,加速度,速度,変位に関する値V_A,V_V,V_Bが得られるが,これらは構造物の減衰定数hの関数である.以上より,振動加速度,速度,変位に関する新指標「一般応答エネルギー」V_A,V_V,V_Bを評価することができた.また,収集した震害資料を分析し,建物,橋梁など構造物の振動による震害と,盛土,道路,擁壁,岸壁,地中埋設管,マンホールなどの地盤震害に大別し,それぞれの被害の程度と被害件数とを乗じ,その地域における構造物の数,または道路延長などで除した指標を求めた.次年度は,ここで求めた振動加速度,速度,変位に関する一般応答エネルギーと振動震害,地盤震害とを対応させ,最も対応のつく組み合わせを考え,震害新指標の提案を行う予定である.
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