1995 Fiscal Year Annual Research Report
軟弱地盤上構造物の上・下部構造一体設計に関する研究
Project/Area Number |
07650583
|
Research Institution | Ishikawa National College of Technology |
Principal Investigator |
出村 禧典 石川工業高等専門学校, 環境都市工学科, 教授 (90042928)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨田 充宏 石川工業高等専門学校, 環境都市工学科, 助手 (40217542)
佐野 博昭 石川工業高等専門学校, 環境都市工学科, 講師 (50187275)
|
Keywords | 最適設計法 / システム分析 / 軟弱地盤 / 沈下予測 / 不同沈下 / 弾・粘塑性 / 有限要素法 |
Research Abstract |
本研究の目的は,軟弱地盤上に建設される構造物の沈下に対する最適設計案探索手順の構築である。最適化の基本的考え方は,沈下抑制の効果を必ずしも基礎(下部構造)のみに負担させるのではなく,上部構造の剛性を増加させるなどして上部構造にも負担させる。分担の度合いは,例えば上部構造と下部構造を合せた構造物全体の建設費が最小となるように決定する。すなわち,構造物を上部構造と下部構造から成る一体システムと考え,システムにとって最適な上・下部構造設計案の組み合わせを探索する。 研究目的達成のための重要な技術課題に,最適設計探索のアルゴリズムの構築と不同沈下予測法の開発の2つがある。前者の課題については上部構造と下部構造の設計空間を一体化し,一体システムに対して作成された制約条件や評価関数に基づいて最適案を選択する。後者の課題については,地盤に弾・粘塑性構成式を組み込んだ有限要素法を適用し,軟弱地盤上の盛土や構造物の施工の履歴も考慮して変形を解析し,構造物の不同沈下を算定する。沈下が実測されている神戸六甲アイランドのある既設構造物に適用したところ、予測値と実測値が概ね一致したので,予測法は十分な精度を有していると考えられる。さらに,最適決定手順を上下部構造間のバランスがとれていると判断される同じ既設構造物の計算モデルに適用したところ,最適計算値と既設構造物で採用された実施設計値が概ね一致した。決定手順は有効であると判断できる。 なお,本手順を用いて最適と判断された神戸六甲アイランドの既設構造物は,平成7年1月の兵庫県南部地震によっても上部構造物にほとんど被害が生じなかった。上下部構造間の剛性のバランスを考えた設計は耐震的にも有効であると推測される。そこで,上・下部構造一体設計を地震荷重に対しても適用できるように拡張を計画している。
|