1996 Fiscal Year Annual Research Report
水面波を成因と考えた渓流のステップ・プール形成に関する研究
Project/Area Number |
07650585
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
長谷川 和義 北海道大学, 工学部, 助手 (70001328)
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Keywords | 渓流 / ステップ・プール河床 / リブ河床 / 射流 / 水面波 / 反砂堆 / 線形安定解析 / 河床波発生条件 |
Research Abstract |
昨年度実験的に明らかにしたスッテプ・プールの成因に関して、流れ-砂礫輸送系における境界面不安定発生の立場から数学モデルによる線形解析を進めた。その結果、非常に狭い波数域で境界不安定が発生し、その極大成長率をあたえるステップ・プール波長が実験結果と一致することを確認した。波数域が狭いことは、3次元水面波が河床起伏と共振状態にあることに対応しており、その不安定領域の狭さがステップ・プールの発生後のすみやかな崩壊という実験事実を説明している。 すなわち、流れの運動量方程式として水面波特性を良好に表現しうる非静水圧浅水流方程式を用い、流砂量式に底面起伏の傾斜効果を取り入れたKovacs-Parker式を採用することにして、その方向成分式を新たに導いた。さらに、波によるせん断力の位相ずれを考慮し、流れの連続式・流砂連続式を連立させた。これらの基礎式について等流状態からの摂動に関する線形化方程式を導き、複素振幅係数の解の存在条件から底面起伏の成長率を求め、横断方向の波数モードが0(2次元反砂堆波)および1(3次元ステップ・プール波)の場合の流れ方向波数との関係を調べた。結果は、ステップ・プールについて起伏の成長(不安定化)領域が現れ、その成長率が極大になる波長が実験によるそれにほぼ一致した。したがって、昨年度実験から現象的に導いた結論、ステップ・プールは3次元反砂堆であり斜め交錯水面波が共振状態になることによって形成されるということが、理論的に解明されたものといえる。しかし、反砂堆については抵抗則の不一致が原因らしく、明確に不安定域を求めることができなかった。理論の改良をはかり、結果からステップ・プールの発生領域を平均水理量にて表し実用化することが必要であるが、今後の課題である。
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