1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07650588
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
須賀 尭三 宇都宮大学, 工学部, 教授 (00162842)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 裕一 宇都宮大学, 工学部, 助教授 (20202898)
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Keywords | 並列らせん流 / タテ渦 / 流れの構造 / 3次元流れ / 組織渦 / 可視化 / 開水路流れ / 水理学 |
Research Abstract |
並列らせん流は、開水路流れにおける運動量と質量の輸送に係る大規模組織的乱流の最大の基本問題のひとつと位置づけられる。しかし、約30年前に河川の洪水流においても存在することが示されたが、その内容に関する本格的な検討はほとんど行われていない。そこで本研究においては、安定した並列らせん流の構造を実験的に明らかにすることにした。 実験方法は、水路底より気泡を噴出してタテ渦を強制的に形成させ、その直下流において組織づけられる並列らせん流の構造を時間平均的な流速の測定と瞬間的な可視化によって調べた。実験によると、タテ渦の間隔が水深の2倍の間隔からずれると、並列らせん流は安定せず、河川洪水時の航測写真で明らかにされているように、水深の2倍の間隔のときが最も安定することがわかった。ついで、タテ渦が水深の2倍の間隔で並んでいる安定した並列らせん流の流速分布を調べると、長方形断面水路側壁沿いのタテ渦は偶角部の側壁摩擦の影響を受けて変形するが、水路中央部のタテ渦では横断面流速成分はほぼ円形の等流速に近い流線群からなり、並列らせん流はこのようなタテ渦が流速の向きが互いに違いに並んだ構造となっている。もっとも、ここまでは従前よりおおむねわかっていたことである。しかし、瞬間的な構造をみると、平面的にみて水面におけるボイルの位置が横断的にも縦断的にも水深の2倍の間隔でチドリ状に間欠的に生じており、ボイルとなる上昇流の勾配は緩やかで、これよりは定常的な下降流は急な角度となっている。さらに、水路床まで達した下降流の質量の大部分は元のタテ渦に戻るが、一部は隣りのタテ渦に移行することが判明した。このような並列らせん流の構造はこの研究によって、おそらく初めて示されたものであり、この研究ではその特性について種々調査を行っている。
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[Publications] 坂入芳昭: "河岸近傍の橋脚洗掘に及ぼす並列らせん流の影響" 日本自然災害学会学術講演会概要集. 14. 54-55 (1995)
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[Publications] 三浦淳: "縦渦と並列らせん流に関する実験的検討" 土木学会関東支部技術研究発表会講演概要集. 23. 310-311 (1996)
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[Publications] 本村康高: "水平せん断層における渦の3次元構造" 土木学会関東支部技術研究発表会講演概要集. 23. 308-309 (1996)
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[Publications] Kyozo Suga: "Influence of side by side longitudinal vortices on local scour around a cylinder." Proc.Of APD-IAHR. 10. JenI-1-8 (1996)
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[Publications] 須賀尭三: "縦渦と並列らせん流に関する実験的検討" 土木学会年次学術講演会概要集. 51. 382-383 (1996)
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[Publications] 隅田智之: "縦渦と並列らせん流に関する実験的検討" 土木学会関東支部技術研究発表会講演概要集. 24(投稿中). (1997)