1995 Fiscal Year Annual Research Report
土木遺産の補修とオ-センティシティ(真物性)の設定基準に関する研究
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07650620
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
馬場 俊介 名古屋大学, 工学部, 教授 (10111832)
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Keywords | 土木史 / 近代土木遺産 / 修復・復元技術 / 地域振興 / 文化財 |
Research Abstract |
文化財のオ-センティシティは一般に高いほど良いとされるが、厳しい自然に晒され、かつ、高い安全性も要求される公共土木構造物の場合、構造物全体のオ-センティシティを網羅的に維持することが不可能なことが多く、そのような際の次善の策としては,最も大切な部分のオ-センティシティを確保することが最優先課題と考えられている(近代の文化遺産の保存・活用に関する調査研究協力者会議)。こうした状況下にあって、より具体的にオ-センティシティの設定基準を作成するためには、より多くの具体例に触れることが必要であり、国内外の各種の歴史的土木構造物の修復復元・保全活用の実態を(その可否を含めて)詳細に調査・分析した。特に、個々のパ-ツの保存・補修レベルと全体のオ-センティシティ・レベルの相互の関係について、「どこまで再現することが必要か」という観点から事例分析を行った。 また、戦前の土木構造物の安全性評価を行うため(補強の必要性を判断することが目的=オ-センティシティが下がる最大の原因)、明治・大正期の設計・施工水準について、当時の刊行図書(マイクロフィルム・データを利用する)を用いて検討を加えた(試行的にダム技術について分析した)。 研究代表者は、土木学会の土木史研究委員会の中に、平成7年度から「土木史を考える小委員会」を創設してもらったが、その小委員会活動の一つは、地方土木行政向きに近代土木遺産の活用方法を解説したマニュアル(『土木遺産の見方・調べ方』、1996年秋に出版予定)の作成であった。本研究におけるオ-センティシティの設定基準は、こうした啓蒙書の作成を通じて社会に直接還元されていく。また、鹿児島県指定の文化財である西田橋の移築・復元事業(平成7年度〜)の中でも活かされていく。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 馬場俊介・増田智彦: "18世紀〜20世紀前半の土木構造物の意匠の変遷" 土木史研究. 15. 15-28 (1995)
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[Publications] 馬場俊介: "記念シンポジウム「近代化遺産と産業建築」報告2" 建築史学. 25. 94-107 (1995)
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[Publications] 韓直林・馬場俊介: "地方史書から辿る中国の吊橋史" 土木史研究. 16(発表予定). (1996)
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[Publications] 嶌木不折・馬場俊介(分担): "いま、愛知、東海を考える(第4章、土木遺産が語る木曽川)" リバティ書房(名古屋大学放送講座), 59-75 (1995)
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[Publications] 馬場俊介(分担): "日本土木史-1966〜1990(第3章、国土の環境と土木事業、3.1総説)" 丸善(土木学会編), 113-115 (1995)
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[Publications] 馬場俊介(分担): "日本土木史探訪-人は何を築いてきたか" 山海堂(土木学会編), 218-9,280-1,306-7 (1995)
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[Publications] 馬場俊介(分担): "歴史的文化遺産が生きるまち(I部、土木工学と土木遺産)" 東京堂出版(鹿児島の石橋を考える全国連絡会議編), 47-77 (1995)