1996 Fiscal Year Annual Research Report
財源難を想定した〈福祉バス〉運用システムの効率化に関する研究
Project/Area Number |
07650630
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu Tokai University |
Principal Investigator |
渡辺 千賀恵 九州東海大学, 工学部, 教授 (90029330)
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Keywords | 福祉交通 / 福祉バス / 移送サービス / 福祉財源 / 輸送密度 |
Research Abstract |
平成7年度(研究1年目)には全国の公共福祉センター(約400団体)を対象として福祉バスアンケート調査を実施し、その単純集計結果に基づいて基礎的な考察を行った。それを踏まえて平成8年度(2年目)には次の3つの分析作業を試みた。(1)アンケート票の2〜3次元のクロス集計、(2)福祉バス運行の典型事例(5都市)の比較、(3)1運行あたり輸送密度(人/回)の算出と比較。 こうした作業により次のような知見が得られた。(1)全対象団体の平均輸送密度は「5人/回」にすぎない。また、乗車定員に対する乗客の割合は30%ほどである。これは福祉バスの運行効率が低いことを意味する。(2)増え続ける送迎需要に対して福祉バスサービスの提供が追いつかず、少なくない団体が財源難を課題として挙げている。(3)こうした事情から福祉バスの今後のあり方として、乗合路線バスの活用や複数団体による共同運行を意識している団体が現れている。(4)そして実際、福祉バス運行を専門に受託する民間会社が、すでに東京圏では営業していることが分かった。(5)ただし、そうした民間会社に公共福祉施設が運行を委託する際、妥当な委託費を積算する方法が確立されておらず、当面の課題になっている。 このように福祉バスは、まだ各団体が試行錯誤のなかで運行している段階にあると思われる。今後、自治体歳入が減っていく趨勢を勘案すれば、福祉バスにおいても利用者に何らかの“運賃"を課すことも検討せざるをえないと思われる。数は少ないものの、すでに利用料金を課している団体もある。
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