1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07650644
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Research Institution | Musashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
綾 日出教 武蔵工業大学, 工学部, 教授 (60010675)
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Keywords | 浄水処理 / 膜分離 / 粉末活性炭 / 異臭味 |
Research Abstract |
汚濁している多摩川下流の表流水を原水とし、マグネティックスターラで駆動する径75mmの小型クロスフロー膜モジュールを使用し、真空吸引による定圧ろ過とした。粉末活性炭を約10mg/L添加した系と無添加の2系統とし、4種の異なる差圧で長期ろ過実験を行った。使用したろ過膜は精密ろ過膜である。逆流洗浄は、膜を裏返して吸引することにより行った。定期的に膜流束と水質を測定した。 本研究により得られた結論は、以下の通りである。粉末活性炭の添加は膜分離を阻害せず、むしろ抵抗値の増加を抑制する。膜分離差圧が高いほど膜の抵抗値は大きく増加も速い。従って、差圧を大きくしても流束は比例して高くはならない。クロフクローのみでは膜面に堆積し付着する被膜を剥離することはできない。この被膜の強度は、膜分離の差圧が大きいほど圧密によって強くなり剥離し難くなる。膜面被膜の剥離には、膜面をスポンジ等で拭う強制的な洗浄、または逆流洗浄が有効である。濁質の沈降を抑制して懸濁物質濃度を高くした方が膜の抵抗値が低く、抵抗値の増加速度も遅くなる。 従来の砂ろ過を中心とする浄水処理法と同様に、膜ろ過のみの浄水場でも原水水質の異常時に粉末活性炭を注入しても支障がないことが判明した。また、有機化学物質による汚染が認められる原水では、粉末活性炭注入を常時注入することで対応でき、閉塞も遅くなることが確認できた。沈殿池に膜モジュールを浸漬する沈殿池膜分離法では、濁質は沈殿し膜の固形物負荷は小さくなるが、沈殿しない微細な濁質が膜を閉塞させる。浸漬槽内を攪拌して沈殿を防止すると膜面の固形物負荷は高くなるが、膜面の閉塞は少なくなる。撹拌の所要動力を考慮に入れた処理方式の選択が課題となる。 超小型膜モジュールで長期運転が可能であり、少量の試水で長期間のデータが取得可能であった。装置の操作は簡単であり、安価なので簡便な試験装置として利用できる。
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