1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07650686
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
辻本 誠 名古屋大学, 工学部, 教授 (90115600)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江本 哲也 市邨学園短期大学, 生活文化学科, 講師 (90269663)
河野 守 名古屋大学, 工学部, 講師 (60170205)
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Keywords | 死亡率 / アンケート調査 / リスク / 事故 / 災害 / 疾病 |
Research Abstract |
平成7年度の研究において対象とした死因は疾病19項目、事故・災害14項目であり、各死因に対して、各種公的統計資料より得られる客観的統計値として、1969年〜1993年の各年の(1)[死者数]、同期間における(2)[死亡率]、報告者が提案している(3)[死亡率の年変動指標α]、および死亡リスクに対する心理的・主観的評価値として1995年実施のアンケート調査より得られる、(4)[死者推定値]、(5)[死亡危険度評定値]、の諸量を求め、さらに、1988年に実施した同様のアンケート調査結果を比較対照データとして併せて考察した結果、本年度の研究により以下の点が明らかとなった。 (1)各死因における1969年〜1993年の25年間にわたる死亡率の変動が、報告者の提案する指数関数によくあてはまり、ここで得られるパラメータαが死亡リスクの変化を表現する指標として適切であることが確認された。 (2)変動指標αと1995年の死者数統計値との関係から、疾病、事故・災害とも、死者数の多い死因ほど死亡率が増加している、あるいは死亡率が減少しにくい傾向にあることが明らかとなった。 (3)1969年〜1986年の18年間におけるαと、1976年〜1993年の18年間におけるαの比較より、「腎炎」「肺炎」を除いた全ての死因項目でαの値がゼロに漸近していることが明らかとなり、死亡危険に関して、死亡率の変化が穏やかになってきている、あるいは死亡率が変化しにくくなってきている現状が示された。 (4)死亡リスクに対する心理評価の一側面と考えている死者推定値に関して、1995年アンケートの結果は、1988年アンケートの結果に対して、疾病では[栄養失調]を除いた全ての死因項目で、事故・災害では「全ての自然災害」を除いて、より低く推定する傾向にあり、一方、心理評価の他の側面と考えている危険度評定では、「肺炎」を除いた全死因項目で1995年の方がより危険だと判断していることが明らかとなった。 以上明らかになった点に加えて、既往の研究で報告者が示した結果の一つであるαと危険度評定値との関係、すなわち疾病においては死亡率が変化しない死因ほど危険とみなし、事故・災害においては死亡率が減少している死因ほど危険とみなしていること、を考慮しながら特に上述(3)、(4)を併せ見ると、死亡率が変化しない死因を危険とみなす傾向が、今日の死亡リスクに対する社会的評価の現状を示しているものと推測される。
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