1995 Fiscal Year Annual Research Report
木の文化都市の継承と創造を支える伝統技術と職人に関する基礎的研究
Project/Area Number |
07650707
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
東樋口 護 京都大学, 工学部, 助教授 (50026366)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神吉 紀世子 京都大学, 工学部, 助手 (70243061)
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Keywords | 大工・職人 / 木造建築 |
Research Abstract |
本年度は、地域の木造建築の担い手である大工・職人、特に大工の現状を把握するために、京都府下の中小零細企業である大工・工務店に対してアンケート調査及びヒアリング調査を行い、職人による伝統建築デザインの方法と限界について考察するとともに、既往研究・関連文献をもとに、大工技能の変容とその継承方法、大工・職人と設計者、林業・製材業・材木店との協働関係の在り方について考察した。 その結果、大工・工務店の現状について、メーカーの商品化住宅が参入しつつある中で、中小企業である大工・工務店は、それまでの土着的な住宅生産を維持することができずに経営的に困難な状況に追い込まれ、伝統技態の機械化、住まい手のニーズを具現化する設計力の不足、後継者など若手の人材不足などの問題を抱えていることが明らかになった。しかし、一方で、(1)会社独自のデザイン・技術を開発・導入する、(2)住まい手とのつながりを積極的に生み出す、(3)林業や製材業、材木店との新たなリンケージを形成する、等の方法で、自社の活路をつくっているケースも見出せた。 次年度の課題として、1)地域の住宅生産システムとして大工・職人が内包する問題、つまり、地域の風土・文化、林業・製材業、住まい手、設計者とのリンケージ、木造建築技術・デザイン、住居・店舗など建物の利用の仕方、などのこれまでの変容過程と問題点を整理する、2)現状に適合した大工・職人と他の主体との協働関係の在り方について考察する、などが挙げられる。
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