1995 Fiscal Year Annual Research Report
江戸期および明治期における越後の出雲崎大工とその活動に関する研究
Project/Area Number |
07650745
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku Institute of Technology |
Principal Investigator |
高橋 恒夫 東北工業大学, 工学部・建築学科, 教授 (30085443)
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Keywords | 出雲崎町 / 出雲崎大工 / 棟礼 / 大工棟梁 / 建築工匠 |
Research Abstract |
新潟県近世社寺建築緊急調査やその報告書を中心に,同県内の建築工匠のリストを作成した。上記のリストから出雲崎大工が関係した社寺建築や工匠のリストも作成した。このリストをもとに出雲崎大工が関係した社寺建築の現地調査を一部実施し,その平面図を作成するとともに棟礼や文献資料の写真撮影も行った。出雲崎大工の出身地である出雲崎町海岸地区の社寺建築についても現地調査を実施し,図面資料や棟礼・文献資料などを得た。出雲崎町の山側すなわち西越地区については,民家調査を実施した。 新潟県内の上記の建築工匠約1,500名(延べ人数)をデータベース化したので,このなかからいろいろな要素で工匠を抽出することが可能になった。出雲崎大工が関係した社寺建築の棟礼を調査すると,2枚板を合せた棟礼が多い。このような棟礼の形態は珍しいと考えられるので,工匠の系統はもちろん年代との関係からも検討すべき課題といえる。出雲崎は佐渡相川の金銀産出の盛衰と密接な関係があったので,この面からも出雲崎大工の発生とその出稼ぎの問題について検討する必要がある。今回の調査によって,出雲崎には江戸後期から柏崎の大工棟梁の活躍が認められた。当時,出雲崎には大工職人が多かったにもかかわらず,どうして柏崎の大工棟梁が活躍できたのか,新たな疑問が出てきた。今回の調査によって,出雲崎には火災による被害をできるだけ最小限にとどめようと,土蔵造の寺院本堂や神社建築が見られたことも大きな発見であった。
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