1995 Fiscal Year Annual Research Report
「ヴィラール・ド・オヌクールの画帖」復原・復刻に関する調査研究
Project/Area Number |
07650746
|
Research Institution | Osaka University of Arts |
Principal Investigator |
藤本 康雄 大阪芸術大学, 芸術学部, 教授 (90027772)
|
Keywords | ヴィラール・ド・オヌクール / ローマ吋格子 / ゴシック建築 / ゴシック美術 / 羊皮紙本 / 手稿本 / 縮尺 / 人体比例 |
Research Abstract |
1.ヴィラール画帖の復原・復刻 ハーンロ-ザ本その他写真印刷複写図版について、写真製版の専門家の意見を徴したところ、ピント合わせで縮尺の差が生じ図版の不同を招いたもので、複写による歪みは殆ど生じないこと、CGによる部分的変形修正は困難であることが判明した。一方、ラシュス本図が原本に合致すると見られたので、これによってローマ吋格子の適合を確認し、バラ窓などの原図における変形を修正し得た。中世手稿本関連図書の入手調査により、ヴィラール画帖の書体や記載法の根拠が明らかになったほか、犢皮紙サンプルの半透明性などの性質を把握した。現代の類似用紙も製造されていることが知られたものの、サンプル帳だけでも相当高価であり、大量使用は困難と見られた。某洋書古書肆が1995年に完成した、チョーサー著書羊皮紙手稿本の復原刊行作業の内容を調査した。極彩色大版460ページの豪華本であるが、1冊150万円相当の巨費を要したとされる。ヴィラール画帖の復原計画については、関係者の意見をなお調査中であるが、今後の課題とせざるを得ないこととなった。 2.画帖図版の主題別整理 画帖全図柄コピーを個々に切り離し、建築図・人物図・動物図等々により分類整理し、上記格子解析を併用して並べ直しを試みた。人物図について4種の寸法類別のあることなどが判明した。全図柄を網羅したカタログ標本ができ、画帖の全体把握・参照と索引が極めて容易となった。
|
-
[Publications] 藤本,康雄: "ヴィラール画帖と関連地域諸聖堂のローマ尺用法" 日本建築学会近畿支部研究報告集. 第35号. 1081-1084 (1995)
-
[Publications] 藤本,康雄: "中欧ゴシック期建築図面におけるローマ尺用法" 日本建築学会大会学術講演梗概集. 447-448 (1995)
-
[Publications] J. -C. モルウ著 藤本康雄訳: "建築の歴史" 白水社 会(クセジュ文庫,771), 130 (1995)