1997 Fiscal Year Annual Research Report
北部九州に於ける近世社寺建築の作風と伝統的木造建築大工の研究
Project/Area Number |
07650748
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
佐藤 正彦 九州産業大学, 工学部, 教授 (80098772)
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Keywords | 大工 / 神社建築 / 寺院建築 / 作風 / 近世 / 大工文書 / 棟札 / 北部九州 |
Research Abstract |
○北部九州に於ける近世社寺建築の作風としては次の結果を得た。 1.大工志賀幸太郎藤原貞家の作品と作風:大工志賀幸太郎藤原貞家は伊万里市伊万里神社本殿を文化14年(1817)に、西有田町龍泉寺山門を天保4年(1833)に建立し、どちらも現存する。作風は流水の彫物を得意とし、特に流水から鯉が頭を出している彫物は宝永5年(1708)建立の多久聖廟のその彫物の影響を受けていると推察した。 2.大工天本長右衛門の作品と作風:大工天本長右衛門(墨書より宮浦西に居住)は、鳥栖市西清寺本堂を元文5年(1740)に、基山町の大興善寺旧護摩堂厨子二基を宝暦12年(1762)に建立し、いずれも残る。西清寺本堂の厨子は脇障子付きで珍しい。この形式は、大興善寺旧本堂厨子に見られるので、天本長右衛門はこれを参考にしたものと推察した。 3.大工岡字右衛門尉の作品と作風:大工岡宇右衛門尉は鹿島市の松岡神社本殿を寛文12年(1672)に、天満神社本殿を延宝7年(1679)に建立した。どちらも残る。作風は椿の花の彫物を得意とし、菱形の文様を好むことを推察した。 4.臼杵大工の作品と作風:臼杵大工として、板井又生、西倉源五郎清輝、西倉辰三清光、東秀蔵の作品と作風を検討したが、いずれも明治以降の作品しか残っていない。 ○今後の研究の展開:大分の大工利光家、矢野家、福岡の大工山家、吉田家などの資料を収集できたので、これらを分析険討し、それぞれの作品と作風を明らかにすると共に、大工流派の発生過程まで研究を展開していきたい。 尚、以上の研究成果は実績報告書として冊子にまとめた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 佐藤正彦: "九州北部及び隣接地に於ける社寺所蔵棟札の内容-神々と仏達-" 日本建築学会計画系論文集. 498号. 177-182 (1997)
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[Publications] 佐藤正彦: "大工高橋作兵衛の作品と作風" 日本建築学会大会学術講演梗概集. F. 135-136 (1997)
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[Publications] 佐藤正彦: "大工篠川東左衛門の作品と作風" 日本建築学会九州支部研究報告計画系. 第37号・3. 445-448 (1998)