1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07650752
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
木下 博嗣 北海道大学, 工学部, 助手 (40177895)
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Keywords | 電子線照射 / 損傷速度 / 析出物 / 偏析 / ボイド |
Research Abstract |
アーク溶解炉を用い、数種の微量元素を添加したFe-Cr-Ni合金およびFe-Cr-Mn合金を作成した。損傷組織に及ぼす照射速度の効果を調べる目的に、Fe-18Cr-8Ni-1Mn(SUS304)鋼を用いた。1050℃で30分溶体化処理を行い、さらに析出物の効果を検討する目的で、620℃で24時間時効を行った。時効材には粒界にCrの炭化物の形成が認められた。照射は、加速電圧1000keV、温度300、400℃、照射量は7.2dpaまで行った。損傷速度は2×10^<-3>、2.9および1.7×10^<-4>dpa/secの3種で行った。300℃照射の2×10^<-3>dpa/sの場合を除く試料で、5nm以下の微細なボイドの形成が認められた。損傷速度が減少するにつれて、これらボイドの平均径は減少、数密度は増加する傾向が認められた。400℃照射の場合も同様な傾向が認められたが、300℃照射に比較してボイド平均径、数密度とも大きな値を示した。溶体化材と時効材を比較すると、時効材の方が、ボイド平均径、数密度とも小さくなる傾向が認められた。時効により、マトリックス中にも微細な析出物が形成され、それが点欠陥のシンクサイトとなり、ボイド形成を抑制すると思われる。 粒界偏析は、300℃照射ではほとんど生じていないが、400℃照射ではNiの濃化、Crの枯渇がEDS測定により認められた。粒界偏析量は、損傷速度が減少するにつれて増加する傾向の有ることが明らかとなった。
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