1996 Fiscal Year Annual Research Report
陽電子による金属とフラーレンの擬二次元薄膜・擬一次元細線の格子欠陥の物性研究
Project/Area Number |
07650759
|
Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
村上 英興 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (30011000)
|
Keywords | 陽電子消滅 / ポジトロニューム / 多孔性ガラス |
Research Abstract |
本年度は, 1. マイクロポーラスガラスの孔内にカリュームの金属薄膜をはり,ポジトロニュームの形成と寿命を調べた.その結果,薄膜を蒸着する前にはポジトロニュームの形成率が約20%あり,その寿命も1.3nsであったものが,形成率は僅か3%に減少してしまい,寿命は約6nsに延びることが分かった. 2. カリューム金属を完全に孔内に充填したところ,ポジトロニュームの形成率と寿命は,充填前の値にそれぞれ近い値となった.この事から,ポジトロニュームはガラス内でできており,孔内には出ていないと考えられる. 3. 孔内の吸蔵ベンゼンの蒸発に伴うドップラー拡がりスペクトルの変化を陽電子寿命の変化とあわせて測定・解析したところ,蒸発量が求められることが分かった. 4. 石英ガラスのマイクロボイドにアルカリ金属を拡散充填することに成功した.この充填に伴う陽電子寿命の変化を測定し,どのようにボイドを埋めていくかを検討している. 今後は以上の結果を踏まえ,多孔質物質への物質充填をした際に起こる物性の変化と陽電子消滅の関係を明らかにし,物性研究を推し進めていく.
|