1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07650762
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
門前 亮一 金沢大学, 工学部, 助教授 (20166466)
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Keywords | 銅-鉄合金 / 双結晶 / 粒界整合析出物 / 応力誘起マルテンサイト変態 / シュミット因子 / ベイン変形 / 方位関係 |
Research Abstract |
Feを1%程度含むCu合金を適切な温度で時効すると,粒子直径が約80nmより小さいとき,Cu母相と整合な球状γ-Fe粒子が析出する.母相中の準安定なこれらγ-Fe粒子は液体ヘリウム温度まで冷却してもマルテンサイト変態せず,塑性変形のみによってαマルテンサイトへと変態する.一方,約10°以下の方位差をもつ小角粒界にも,粒子直径が約200nmより小さいならば,隣接結晶粒の1つの母相と整合なγ-Fe粒子が析出する.本研究では,粒界上整合γ-Fe粒子のγ→αマルテンサイト変態に対する応力の効果を調査し,以下の結果を得た. (1)整合γ-Fe粒子の粒界すべり阻止に基づく内部応力により,77Kまで冷却中に大きな粒界粒子(130-190nm)は容易にα-Feにマルテンサイト変態した.粒内塑性変形は完全に抑制された.24種類のKurdjumov-Sachsバリアントのうち,特定のバリアントが優先発生した. (2)転位の活動が完全に抑制された条件下で,77Kで外部応力を付加([416]_f方向)してもマルテンサイト変態が生じた.外部応力の向き(引張と圧縮)に応じて、優先発生するバリアントは異なるものであった. (3)以上の実験結果は,応力がマルテンサイト変態時の格子形を変える変形(ベイン変形)に顕著な効果を及ぼすと考えれば,合理的に説明されるものであった. (4)整合γ-Fe粒子内の内部応力(静水圧:1500MPa)は,粒界すべりに起因する内部せん断応力または外部応力より約10倍大きな値であった.これより,大きな静水圧ではなくせん断応力がγ→αマルテンサイト変態において重要であることが示唆された.
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Research Products
(1 results)