1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07650765
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
掛下 知行 大阪大学, 工学部, 助教授 (90127209)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
左分利 敏雄 大阪大学, 工学部, 教授 (40029020)
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Keywords | Ti-Ni合金 / マルテンサイト変態 / 電子論 / バンド構造 / フェルミエネルギー / フェルミ面 / 状態密度 / ネスティング |
Research Abstract |
等原子比組成付近のTiNi合金はB2型構造からR相を経てB19'型構造へと2段階のマルテンサイト変態をすることが知られており,これまでその変態に関する様々な研究が行われている。しかし,構造相転移を電子論的観点から解釈する研究はほとんど行われていない。そこで本研究では,TiNiのB2型構造,R相,B19'型構造ならびにTiFe,TiCoのB2型構造に関する電子構造を計算し,それらの結果を考慮してTiNi合金の相安定性ならびに構造相転移の起源について考察した。本研究の電子構造の計算はTB-LMTO-ASA法を用いて行った。その際、価電子軌道を4s,4p,3dとし,他の軌道はfrozen coreとした。計算は,試行による全エネルギーの変化が1.0×10-5Ry以下になるまで繰り返し行った。その結果以下の事実について分かった。i)TiNiのR相のバンド構造は、以前に報告されているB2型構造,B19'型構造のバンド構造と同様に,エネルギーの低い領域と高い領域に高い状態密度を持つ2つのバンドからなり,フェルミエネルギー(ε_F)はバンド間の谷から高エネルギー側にずれていた。ii)ε_Fでの状態密度(ν(ε_F))は,B2型構造,R相,B19'型構造の順で低くなっていることがわかった。実際には存在しないB19型構造の場合を計算すると,ν(ε_F)はどの構造の値よりも高かった。iii)一方、TiFe,TiCo,TiNiのB2型構造におけるν(ε_F)を比べると,TiFeの値が最も低く、TiCoとTiNiの値はほぼ同じであった。iv)また、計算により得られたフェルミ面断面において,TiNiではネスティングが認められたが,TiFe,TiCoでは認められなかった。 これらの結果から、ν(ε_F)の値とネスティングの存在はTiNi合金の相転移ならびに相安定性と相関があると考えられる.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] T.Kakeshita: "Composition Dependince of Martensitic Transuformations in Fe-Ni lnvar Alloys under Hydrostatic Pressures" Materials Transactions,JIM. 36. 483-489 (1995)
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[Publications] T.Kakeshita: "Effects of Static Magnetic Field and Hydrostatic Pressure on the Lsotheronal Matersitic Transformation in an Fe-Ni the Alloy" Materials Transactions,JIM. 36. 1018-1022 (1995)
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[Publications] T.Kakeshita: "Time-Dependent Natere of the Athermal Martersitic Transformations in Fe-Ni Alloys" Scripta Matesialia. 34. 147-150 (1996)