1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07650767
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
唯木 次男 大阪大学, 産業科学研究所, 助教授 (90029885)
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Keywords | 原子クラスター / 合金 / 相変態 / サイズ効果 / 高分解能電子顕微鏡 / 電子回折 / 構造解析 |
Research Abstract |
本年度はFe-Ni合金原子クラスターのマルテンサイト変態を高分解能電子顕微鏡観察、制限視野電子回折および極微小領域電子回折(ナノ回折)法により調べる一方、Cu_3Au合金原子クラスターにおける規則-不規則変態のコンピュータシミュレーションを行い、規則-不規則変態に及ぼすサイズ効果の要因を考察した. Fe-22.1,25.2,28.6at.%Ni(化学分析値)合金を高周波誘導溶解法で作製し,これらをNaCl単結晶の劈開面上にあらかじめ堆積させた非晶質アルミナ膜上に室温で真空蒸着した.これらの試料に773Kで0〜2時間電顕内で加熱処理を施した.as-depo試料は粒状あるいは島状で、bcc結晶とFe(-Ni)酸化物の微結晶からなる.このような試料を773Kで加熱すると、平均粒径数ナノメータのオーステナイト微粒子が得られた.これらは室温に冷却しても、また、電顕内で105Kに冷却してもなおfccのままであった.この結果はFe-22.1at.%Ni合金の場合同じ組成のバルクと比べてオーステナイトがおよそ400K以上も安定化することを示唆する.しかし、77Kで10日間保持した試料からの電子回折図形ではオーステナイトからの回折リングは完全に消失し、マルテンサイトから予想される位置にブロードな回折リングが出現した.この実験結果は本合金のマルテンサイト変態は従来から言われているように微粒子では起きない、のではなく、等温的に起こる可能性があることを示唆する. 昨年度、Cu_3Au合金原子クラスターのL1_2規則化にはある臨界サイズが存在すること、また、その規則-不規則変態温度、T_C、はバルクと比べて数十Kも低いことを明らかにした.そこで、このようなサイズ効果の要因をコンピュータシミュレーションにより検討した.シミュレーションは粒径が2および3nmの、それぞれ321および1061個の原子を含むモデル結晶について行った.比較のため、単位胞を5個ずつ並べた立方体に周期境界条件を付加したバルク結晶についても行った.得られた主な結果は次の2点である:1)規則状態と不規則状態のエネルギー差はバルクより原子クラスターでより小さくなる;2)原子クラスターのT_Cはバルクと比べて著しく低く、ナノメータ領域でサイズに依存して更に低下する.これらの結果は得られた実験事実を矛盾なく説明する.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 唯木次男: "Structure and Phase Transformation of Nano-scale Particles of Fe-Ni Alloys" Mater.Sci.& Eng.A. (発表予定).
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[Publications] 唯木次男: "Monte Carlo Simulation of Order-Disorder Transformation in Nano Particles of Cu_3Au Alloy" Z.Phys.D. (発表予定).