1995 Fiscal Year Annual Research Report
アルミニウム陽極酸化皮膜の直線状細孔を利用した超微細カーボンチューブの合成
Project/Area Number |
07650777
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
京谷 隆 東北大学, 反応化学研究所, 助教授 (90153238)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富田 彰 東北大学, 反応化学研究所, 教授 (80006311)
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Keywords | カーボンナノチューブ / アルミニウム陽極酸化皮膜 / 熱分解炭素 / 鋳型炭素化 |
Research Abstract |
アルミニウム陽極酸化皮膜には、膜面に垂直で均一なナノメータースケールの直線状細孔が多数貫通しており、電解条件を変化させることで細孔径や細孔の長さを制御することができる。われわれは、このような制御された直線状細孔を鋳型としてプロピレンの気相炭素化を行い、鋳型を除去することでチューブ径のそろったカーボンナノチューブを合成することを試みた。 細孔径約30nmと230nmの二種類の陽極酸化皮膜を用いた。石英反応管に陽極酸化皮膜を入れ、800℃でプロピレンを気相炭素化させ、細孔の内表面に炭素を堆積させた。その後、フッ酸処理で陽極酸化皮膜を溶解除去して細孔内の炭素を取り出した。炭素の形状と構造を透過型電子顕微鏡および制限視野電子線回析により分析した。 その結果、酸化皮膜から取り出した炭素はチューブ状の炭素で、その長さと外径は鋳型として使用した陽極酸化皮膜の厚さと細孔径にそれぞれ等しいことが分かった。また、カーボンチューブの厚さは気相炭化時間とともに増加することが明らかとなった。つまり、鋳型である陽極酸化皮膜の厚さ、細孔径、そして気相炭素化時間を変化させることにより、生成するカーボンチューブの長さ、外径、内径を自在に制御することができるようになった。カーボンチューブの制限視野電子線回析分析より、チューブの壁の部分は炭素の002面がチューブ軸方向と平行に積層してできていることが推測された。また、高倍率の透過電子顕微鏡写真から、壁の部分では5nm以下の長さの002面が波打ちながらチューブ軸と平行に積層しているのが実際に観察できた。以上より、本法により生成したカーボンナノチューブは微細な炭素六角網面が円筒状に積層してできたものであることが明らかとなった。
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