1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07650787
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
川路 均 広島大学, 工学部, 助教授 (10214644)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山中 昭司 広島大学, 工学部, 教授 (90081314)
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Keywords | 層間化合物 / 磁性 / 粘土鉱物 / モンモリロナイト / 水酸化ニッケル / 酸化ニッケル / クロライト |
Research Abstract |
2次元構造を持つ層状物質に、種々の化学種を挿入させることにより、新しい構造を有する物質の創製が可能である。2次元粘土鉱物であるNa-モンモリロナイトをニッケル、コバルト、マンガンなどの遷移金属硝酸塩水溶液に分散し、水酸化ナトリウム溶液を滴下することによって層問に金属水酸化物の単分子層を析出させることに成功した。さらにこれを加熱処理することによって、水酸化物層を酸化物単分子層に変化させた。挿入された遷移金属水酸化物単分子層および酸化物単分子層について詳細な物製測定を行った。 水酸化ニッケルはバルブ結晶でも2次元的な層状構造を有しているが、粘土層間に析出させるとその磁性が大きく変わり、極低温で反強磁性体であったものが強磁性体へと変化した。2次元層内での磁気秩序については両者とも同様であり、この変化は粘土層によって水酸化ニッケル層間の距離および相互作用を変化させた結果であると考えられた。熱処理した試料についても酸化ニッケル結晶とはまったく異なる磁性を示し、酸化ニッケルではワイス温度-2000Kでり磁気スピンはお互いに反強磁性的に結合しており、さらにネ-ル温度520K以下で反強磁性体となるのに対し、得られた試料では室温付近で磁気スピンが強磁性的に結合し、強磁性磁気クラスターが生じていることが分った。この強磁性クラスターの生成は粘土層間に酸化ニッケルが閉じ込められた結果生じたものであり、その大きさは400℃加熱で4原子、700℃加熱で10原子程度と見積もれた。さらに、この化合物は150K程度以下でフェリ磁性を示すことが明らかになった。 またコバルト、マンガンを粘土層間に析出させた系でもバルク結晶とは異なる磁性を示すことを見いだした。これらの、研究成果については平成7年秋の日本セラミック協会秋季シンポジウムなどにおいて発表した。
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