1996 Fiscal Year Annual Research Report
異種高分子薄膜の交互積層によるポリオレフィンフィルムの改質
Project/Area Number |
07650802
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
河口 昭義 立命館大学, 理工学部, 教授 (80027060)
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Keywords | アイソタクチックポリプロピレン / 超高分子量ポリエチレン / 超延伸 / ロール加熱延伸 / 高分子ゲルフィルム / 引っ張り強度 / 引っ張り弾性率 |
Research Abstract |
アイソタクチックポリプロピレン(iPP)と超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)を交互に積層し、配向した薄膜をつくるという所期の目的は一応達成された。しかし、作られたフィルムは力学的強度が小さいなど、現時点では実用に耐えうるものではなく、充分役にたつものにするためには、技術的に改良されなければならない問題が残された。一つはフィルムの厚さの制御である。PEをサンドイッチ状に挟んだiPP/UHMWPE/iPPの交互積層フィルムは、各々の高分子を溶液から結晶化させてゲル状にして、それを交互に積層してシート状にし、乾燥の後に延伸とする方法を用いた。この方法では、厚い層を積み重ねるのには問題はないが、各層を薄くすると、積み重ねたゲルの表面が粗くなり、均一な厚さの層にするのが難しい。一層を薄くするのが困難なこともあって、本研究では三層の積層フィルムの研究を集中的におこなったが、多層にするにはこの問題を解決しなければならない。 二つめの問題は、延伸温度の制御の難しさである。延伸を、熱一軸延伸と熱ロール延伸の2方法で行ったが、後者が良く、それも二段ロール延伸がよいことが分かった。iPP、UHMWPEの融点がそれぞれ違い、高延伸できる温度が異なっている。本交互積層フィルムを延伸するに当たっては、両高分子が充分高延伸できる温度でなければならず、その温度領域は130℃〜140℃にあることが分ったし、この温度範囲でいかに精度良く温度制御するかが要求されるようである。 他に、延伸倍率をどの程度まで上げるかという問題がある。現実には、延伸すればするほど強度は上がり良いはずである。この問題は前二つの問題と密接に関係があるので、より強度の大きいものを求めるためには、二つのパラメターを同時に決めなければならず、引き続き実験を行い解決して行く予定である。
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