Research Abstract |
Ni/TiO_2サ-メット電極を固相置換反応法で作製する際の技術,特に気孔率の制御法を確立し,熱膨張係数,強度,導電率,ガス透過率を調べた.まず,固相置換反応,2NiO+Ti→2Ni+TiO_2で,一定の気孔率を有する多孔質のNi/TiO_2サ-メットを作製するための条件を探索した.すなわち,SOFCの燃料極はガスの流通をよくするために30%程度の気孔率が必要といわれているので,30%付近の気孔率の材料を作るための条件を調べた.このため,NiOとTi粉末の粒度,成形圧力,焼成温度(900〜1400℃)を変えて種々の試料を作成し,それらの組織観察を行い,気孔率および4点曲げ強度の測定を行った.その結果,(1)反応後の組織はNiとTiO_2のみから成り,焼成温度が高くなるにつれて粗い組織になる,(2)粉末の粒径が大きいと組織が不均一になるが,粒径は気孔率には関係しない,(3)成形圧力が高いほど気孔率は低くなる,(4)焼成温度が高くなるほど気孔率は低くなる.(5)強度は気孔率のみに関係し,気孔率が高いと強度は低くなり,気孔率30%の時の強度は約100MPaと高いことが分かった.ついで,電気伝導度と気孔率を測定した.電気伝導度は直流四端子法で測定した結果,1000℃で約1000 S cm^<-1>と非常に高かった.また,電気は金属ニッケル相を通って流れているが,水素分圧が高くなると(酸素分圧が非常に低くなると),少しではあるがチタニア相も導電に寄与することが分かった.ガス透過係数は一定差圧下で窒素ガスを流したときの流量から測定した.その結果,気孔率30〜40%の試料では10^<-2>〜10^<-3>cm^4g^<-1>s^<-1>(室温)の範囲にあり,非常に良好であった.
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