1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07650837
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 邦夫 東京大学, 工学系研究科, 教授 (20010803)
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Keywords | 機械的合金 / 合金 / メカイニカルアロイング / フラーレン / MA |
Research Abstract |
本研究は,金属中にC60分子を固溶した″固溶体合金″あるいは金属中にC60ナノ結晶粒子を分散した″ナノ分散粒子合金″をMA(機械的合金化法)によって作製して,金属材料の強化機構として″分子″による″固溶強化″あるいは″分散強化″を利用しようとするものである. 1.アルゴン中アーク放電して作製した煤をトルエンで溶媒抽出,液体クロマトグラフで分離,真空中110℃乾燥した数十μm程度のC60結晶と電界銅粉(100μm以下)を窒素雰囲気でイットリア-ジルコニアのポットに入れて同材のボール(直径10mm)によって混合した.全量は14g,C60の体積率は20%である.X線回折によると,8h以上の混合では,銅の格子面間隔が0.05%程度広がるとともに銅の粒子寸法は10nm程度となった.C60相は消滅した.透過電子顕微鏡観察では,C60はグラファイトまたはアモルファスダイヤモンド状に変化した. 2.ボールの直径を3mmとして混合した.混合中の銅相の変化はボール直径10mmの場合とほとんど同じであった.128h混合後,酸によって銅を溶解除去した試料の透過電子顕微鏡観察では,C60粒子の存在が認められた.128h混合した後,直径10mm高さ1mmに370MPaで圧縮成型して,100℃から700℃で真空焼鈍した.成型体の相対密度は,600℃焼鈍の後で,5%C60の試料で約71%,20%C60の試料では約76%であった.成型体の硬さ(HV)は,5%C60の試料では焼鈍温度とともに減少して600℃で200程度である.これは純銅の2倍以上である.20%C60の試料では,焼鈍温度によらず200程度である. 3.アルミニウム粉末を用いて,2.と同様の実験をなった.X線回折によると,アルミニウム粒子のMAによる変化はほとんど認めららない.成型体を得ることはできなかった.アルミニウムの成型の場合には,さらに強度の加工が必要である.
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