1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07650838
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
篠原 正 東京大学, 工学系研究科, 助教授 (70187376)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻川 茂男 東京大学, 工学系研究科, 教授 (20011166)
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Keywords | カソード防食 / 大気環境 / 大気腐食 / 水膜 / 海塩付着量 / 親水性塗膜 |
Research Abstract |
種々の塗装を施した炭素鋼板を短冊状(幅50mm、長さ1m)に切り、この長手方向の一方の端にアノードを取り付け、さらにアノードから所定の距離の所に人工欠陥としてドリル穴をあけた。これに所定の量の海塩を与えた後アノード-炭素鋼間に種々の電圧を負荷し、このときの電流を測定しつつ欠陥部の電極電位の測定を行った。こうして、相対湿度,海塩付着量,塗料の親水性,付加電圧の大きさ,欠陥位置などが欠陥部の電位や流入電流に及ぼす影響を調べることにより,大気腐食へのカソード防食の有効性の検討を行った.その結果、塗料に親水性のものを用い,塗装膜面上の海塩付着量が多く、湿度が高いほど電極電位が卑化し、本防食法が有効であることが確かめられた。このように、腐食性の高い-海塩付着量が多く、湿度湿度が高い-環境ほど防食効果が発揮されることは、本防食法の大きな利点であるといえる。 本試片について1次元モデルの等価回路を考えて,測定結果を解析することにより,アノード持ち上げ部抵抗、塗膜上水膜抵抗、分極抵抗、あるいは欠陥部流入電流などが相対湿度の関数として得られ,所定の条件における電極電位の推定および防食設計が可能となった.これにより、以下の知見をえた: 1)塗装面の欠陥が1つしかないという良好な塗装状態であるならば,かなりの距離(3〜5m)まで防食電流が到達可能である。 2)塗装面の欠陥が2つ存在する場合,どちらも防食することは困難であるが,アノード近傍の防食は可能である.その際には欠陥配置を考えた防食設計が必要である. 3)アノードへの付加電圧の大部分がアノード持ち上げ部で消費されており,この部分の抵抗値をいかに小さくするかが,今後の課題である.
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