1996 Fiscal Year Annual Research Report
βチタン合金のセラミック被覆と時効硬化の複合熱処理
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07650857
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Research Institution | KANSAI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
杉本 隆史 関西大学, 工学部, 助教授 (90067736)
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Keywords | Ti-15V-3Cr-3Sn-3Al / 時効挙動 / 二段時効 / 機械的性質 / PVD法 / TiNコーティング / ヤング率 / 耐磨耗性 |
Research Abstract |
材料の耐食性,耐摩耗性を向上させるセライックスによる表面処理技術が最近注目されているが,現在セラミック被覆の適用は鋼に対するものが多く,非鉄金属材料に対するものは少ない.本研究は先端材料の高機能化を目指して,冷間加工性と強度特性に優れたβ型チタン合金の耐摩耗性,耐焼付性の改善にPVD法によるセラミックコーティングを採用し,この処理と同時に基材の時効析出強化をはかった.β型チタン合金としては,高延性,高強度材料として注目されているTi-15V-3Cr-3Sn-3Al合金を基材に用いた.工業的なPVD法は,通常500〜800Kの温度範囲で1時間の処理を条件としている.そこで,Ti-15V-3Cr-3Sn-3Al合金の高強度化のための最終時効条件を773K-3.6ksの処理に目標を置き,それを達成できる前加工および前熱処理の影響を前年度に引き続き明らかにした. 前処理はβ結晶粒の微細化をも目的に,1063K-3.6ksの溶体化処理後冷間圧延を施し,再度1063Kで0.6ksの瞬時焼鈍(FA)を加えた.その後623Kで600ks時効すると,α相が粒内に微細析出し,HV380,引張強度1413MPaを示したが,伸びは1.8%であった.しかし高温の第2段時効により伸びは回復し,823K時効では引張強度1170MPa,伸び9.5%の機械的性質が得られた. この時効挙動を基に,適切な前熱処理後,PVD法により773K-3.6ksのTiNコーティング処理を施したTi-15V-3Cr-3Sn-3Al板材は,常温で109GPaのチタン材料としては高いヤング率を示し,耐磨耗性も定常磨耗量が1/4に減少し改善できた.基材の強度は,HV374の硬さより前述の二段時効材に相当するものと考える.
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Research Products
(1 results)